こんにちは〜
昨日の大雨からの、晴天!
ベランダ読書日和です☺️
『未必のマクベス』を読んでハマった作家さん、早瀬耕さんの新作を手に取りました!
素敵な装丁に心癒されますが、なかなかに重ための内容です。
いち会社員として考えさせられることの多い作品でした。
この物語は「大きな組織」に翻弄される人々を描いた7編の短編小説集です。
大手化粧品会社に勤める同期入社の夫婦が、自社の技術が軍事転用される「スピンオン」が実施されることを知り葛藤し(「思い過ごしの空」)、
憲法が改正された日本で、千歳基地に駐在する航空自衛隊のパイロットが、遠く離れた紛争地帯の無人軍用機を遠隔操縦することへの葛藤をひとりで抱え(「彼女の知らない空」)、
52歳の会社員が、取引中止の挨拶のために大連に赴き、ホテルのなかで高校時代の彼女の夢を見ながら「世界を変えられる」と言っていた若き日を思い出し(「七時のニュース」)、
残業という「ドーピング」過多のため心を病んでしまった妻を支えながら、「ドーピング」に頼らざるをえない組織の矛盾を思い巡らす会社員が不思議な老人に会い(「閑話|北上する戦争は勝てない」)、
過労で心身ともに壊れつつあるエンジニアが、東京駅丸の内口の喫煙所内で不思議な老人と出会ってから自分が指揮官として戦場を駆け巡る夢を見るようになり(「東京駅丸の内口、塹壕の中」)、
広告代理店の女性社員から面倒な仕事と役割を押し付けられた化粧品会社の社員が、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の役柄にたとえながら会社員としての正義と個人的な思いに揺れ(「オフィーリアの隠蔽」)、
宇宙飛行士を目指していた52歳のNASDA(宇宙開発事業団)の事務職員が、夢を叶えるまでかつての恋人からもらった時計を付け変えられずに20年以上も経ってしまったなか、職業倫理を揺さぶる驚きの実験計画を知らされ(「彼女の時間」)、
それぞれ大きな組織の一員として簡単に抗えない環境のなか、自分のなかにある使命感や責任感、倫理観のなかで揺れ動き、葛藤する姿が描かれています。
パイロットや宇宙飛行士など、なかなか身近にいない職業の人々の姿が描かれていて興味深く読めるうえに、「組織の一員」だからこその葛藤が事細かに描かれていて、いち会社員として深く共感しながら読み終えました。
そして著者の早瀬さんはシェイクスピアが好きなのですかね、仕事小説のなかに文学的な要素を散りばめているところが、なんというかとてもオシャレだなぁと思いました。笑
「兵器の進歩とは、ある時期まで、兵士の恐怖感と罪悪感の希釈だったと思う。
棍棒や刀で相手の息遣いを感じながら殺し合っていた白兵戦では、腕に力を込め、相手の骨肉を切る感触を味わう必要があった。自分が殺されるかもしれない恐怖と同時に、相手の苦しむ表情を間近で見なければならなかったことだろう。火薬が発明され、トリガーは子どもでも引けるほどに軽くなり、離れた相手の表情は、その気がなければ見なくても済むようになった。さらに機関銃が発明され、ほんの数秒、トリガーを引き続けるだけで、何人もの相手を殺せる。罪悪感が薄れるのに対応して、相手が同じ射程・精度の武器を持っているか否かが、兵士の恐怖感として残った。航空機の発明は、人影が蟻程度にしか見えない上空からボタンひとつで殺戮を行えるようにした。兵士をターゲットから遠ざければ、恐怖感も罪悪感も希釈される。」(60頁)
ちょっと長い引用ですが、この引用で言う「兵器」は、現代で言う「組織」に置き換えられると思います。
上からの指示だから、立場上やらなきゃいけないから、そんな理由で会社員としての「兵士」は戦場に突っ込んでいかなければいけないときがあります。
物語の登場人物たちは、「こんなことをするために組織に入ったわけじゃないのに…」という思いを抱えながらも、抗えない状況下で苦しみながらそれぞれの任務を遂行します。
そんな葛藤を抱えてるのですから、心身ともに疲れ果て、壊れてしまう「兵士」も少なくありません。
この物語では倒れゆく「兵士」たちの姿も克明に描かれていて、他人事とは思えず胸が痛みました…。
この物語全体からわたしが読み取ったことは、
組織の一員でいる以上、どうしたって「知らない空」があり、ときにその空の天候に左右されてしまうことがあるということと、
自分の身を守るための「ベンチマーク」(「基準」というような意味です)を見つけておきなさい、というアドバイスでした。
この物語は組織のなかで消耗する人々の描写が多く、「ベンチマーク」という言葉は「社員を休ませないと心身ともに病んでしまう基準」として使われています。
ある上司は部下が「アルコールが入っていない帰宅時に、グリーン車に乗るか、自費でタクシーを使い始め」(228頁)るようになったら、またある上司は「自分や部下のミスを上司に報告できなくなったらアウト」(235頁)だと言います。
自分のベンチマークはなんだろう。
「メイクしたまま寝落ちする日が週3日以上続いたら」とかですかね。笑
けっこう考えさせる深い問いです。
いまはそこまで激務ではありませんが、それでも組織の一員として消耗することもあります。
自分を守れるのは自分だけですから、考えておくに越したことはないよなぁと思います。
最後に、この物語に惹かれるのは「愚痴」を嫌うところです。
抗えない環境だからといって、不満を漏らしたって、誰かを責めたってどうしようもない。
自分の出来る限りを尽くし、それが「ベンチマーク」に達したら身を引く。
自分のなかでそうやってバランスをとることで、他者や社会と共存していこうとするのです。
もちろん、物語ではバランスをとれなかった人々もたくさん登場します。
言うのは簡単ですがやるのは難しいことです。
ですがきっとそれがわたしたち個人の課題なのだろうと感じました。
フィクションなのに、現実的なことをいろいろ考えさせられた深い物語でした!
会社員(特に管理職の方)必読の一冊です!!
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