さきほど読み終わった一冊。
タイトルに「よるのふくらみ」とあるからには夜のうちに読み終わりたくて、一気読みしました。

夜読むのにふさわしい、やらしくてやましい小説でした。

この物語の舞台は、古びた商店街。
物語の主役は商店街で生まれ育った幼なじみの男女3人。

保育士のみひろは、高校時代から付き合っている圭祐と同棲中で、結婚を意識していたもののある悩みを抱えていました。
それはセックスレス。
生々しいこの問題は、みひろの中で渦を巻き、身体の熱を発散できないもどかしさと恥ずかしさでいっぱいになり、じりじりとみひろを追い詰めていました。

思い切って圭祐に打ち明けてみたものの、冷ややかな反応が返ってきてしまい、みひろは気が動転してしまいます。
そしてもうひとりの幼なじみ、圭祐の弟・祐太の存在を思い浮かべてしまい…。

その後の展開はだいたい予想がつくかもしれませんが、あえて語りません。
そのほうが「やらしくてやましい」感じが伝わる気がします。笑

こういう「やらしくてやましい」テーマは、デリケートなぶん、ひとりで抱えて知らぬ間に追い詰められてしまう…ということがよくわかる名作です。

みんながみんな健全で、性欲もほどよい感じだったら良いのですが、そうもいかないのが人間というもので…。

満足できない自分に嫌悪感を抱くみひろも、男として情けない思いにのたうち回る圭祐も、裕太の秘めたる切ない思いもすべて共感できて、ため息ばかりついてしまいました。

あけすけに語れないけれど切実な問題をめぐる感情の揺れ動きが緻密に描かれていて、胸がぎゅっと痛みました。

やらしくてやましい思いは、言わないだけでみんな持っています。
彼らのような物語展開にならなかったとしても、彼らのつらい気持ちは読めばよくわかります。

気持ちが入り込みすぎてしまったのか、最終部で涙してしまいました。
なんやかんやとありながら(あくまであらすじはぼやかします笑)、彼らの心にともったささやかであたたかい光が、どうかそのままでありますようにと願わずにはいられなかったからです。

やらしくてやましい物語だけれど、軽薄な物語ではありません。
煮え切らない想いにむせかえりそうになりながら、心の奥底に響いた、濃い恋愛小説でした。


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