| おしゃべりな銀座 [ 銀座百点 ] 1,728円 楽天 |
銀座百点とは、「銀座のかおりを届ける雑誌」として、1955年に創刊された日本初のタウン誌である。
和光、鳩居堂、資生堂パーラーなどの銀座の名店に置かれ、ハンドサイズのこぢんまりとしたよそおいながら中身は銀座の文化を見守り続けた威厳を感じる、知る人ぞ知る名雑誌だ。
文化人とは朝井リョウ、大根仁、隈研吾、堀威夫、松尾スズキなど、小説・映像・建築・芸能の各方面で活躍する50人が思い思いに「銀座」にまつわるエピソードを語っている。
「銀座」は無敵だ。日本を代表する文化教養の発信地としてわたしたちに「粋」を提供する。
衣食住の「住」を「芸」に置き換えて、それらがすべて極められたところが「銀座」なのだ。
和光の時計、三笠会館の唐揚げ、歌舞伎座、ギャルリーためなが、日劇、教文館、トラヤ帽子店…老舗の名店はそれぞれが文化の象徴として彼らの思い出話に登場する。
「銀座」の名店や街並みを知っている大御所はやはり粋な語らいで、地方から出たての銀座デビュー組や銀座ほぼ初心者組はあこがれと畏怖の念をもって「銀座」を語る。
本書を読んで、内側から湧き出る「粋」「こなれた感じ」に少しでも近づきたい、と強く思った。
銀座という地が無ければ生まれなかったかもしれない芥川賞・直木賞の数々の作品、名画、名演技、「ファイナルファンタジー」…。
銀座がこれらの何らかのきっかけになっているんだ!と知ることはわたしの内側の「こなれ感」を少しだけ高めてくれた気がした。
「きれいな服、清潔なレストラン、ちゃんとした東京ことば、本、レコード、あんパンにお菓子。銀座という場所自体が東京のなかでもおとなだから、訪れるひとたちはみな少しだけ、こどもの顔を取り戻し、溌剌と胸を張って歩いていく。」
(29頁 いしいしんじ「こどもの銀座」)
「人間万事塞翁が馬。まったくもって明日の我が身になにが起きるかなんてわかりゃしない。ただひとつハッキリいえることがある。それは僕らが銀座に行って痛い思いをしなければファイナルファンタジーは生まれなかったということ。」
(59頁 植松伸夫「最後の夢を生んだ街」)
「東京にはいろんな貌(かお)がある。どんどん新しいものに侵食されていく街もあれば、十年一日のごとく変わらない街もある。わたしにとって銀座という街は、古きよき時間が根底に流れている、目が覚めるほどの新しい街なのだ。」
(193頁 東山彰良「銀座は習うより慣れよ」)
それは彼らの文章から大御所であれ若手であれ日本文化に関わり、牽引してきたという矜持を感じられるからだろう。
「銀座」とつければなんでも「粋」になる無敵の地で、「#ザギン #クレープ」などとインスタでちいさく銀座アピールしている自分はなんか、ぜんぜん粋じゃなく感じた。
文化のかおりが一切しないからだろう。
