「先生、この子の名前なーんだ!わかる?」
5年生のBくんが、私に声をかけてきました。
Bくんは私が名前を覚えるのが
苦手ということを知っていて、
でもさすがにもう覚えてるよね、と
冗談まじりに聞いてきたのでした。
でも…。
通りすがりに横顔だけ見えたの女の子は、
Bくんと同じ5年1組のお子さんということは
もちろんわかるのですが
名前がわかりません![]()
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そこで
「わからない、ごめんね」
って正直に言えばよかったんです。
だけど、半年もたっててそれはないよ…。
そう思った私は、もしかして…と
思いついた名前を「〇〇さんかな。」って、
一か八かで言ったんです。
半年もたってるのに名前を覚えられていないって
自分だったら悲しいと思いました。
Bくんはその名前を聞いて、
びっくりしたような表情から笑い顔になり
通りすぎて階下に行ってしまっていた
女の子を追いかけて
「おい!先生おまえのこと、○○って言ってるぞ!」
とその女の子に向かって大声で呼びかけました。
一か八かのかけは失敗![]()
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その子の名前ではなかったのです![]()
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私はいたたまれず、その場から駆け足で
職員室に戻り、児童写真を確認しました。
やっぱりその子の名前は
○○さんではありませんでした![]()
私、名前を覚えられていないっていっても
相貌失認まではいかない程度です。
だから、睡眠時間削って他の「やりたい」をやめて
全力でやれば名前を覚えることもできます。
育休に入る前に担任を持っていたときは、
春休みにうけもちの児童が発表されるやいなや
写真入りの名簿を作り、そのお子さんの特徴や
エピソードを資料から書き写し
新学期が始まって実際の子どもたちと過ごして
さらに気が付いた特徴や情報を書き込みました。
それを元にゴールデンウィークに徹夜をして
子どもたちの名前を覚える、ということを
していました。
始業式にすべての子どもの名前と顔を
覚えているのがベストであると、
新卒時代に先輩教師から聞いて
それを目指していたからです。
でも、育休開けのこの年は、
それをしませんでした。
できる範囲で名簿や写真は日々確認して、
名簿と顔写真、座席表は持ち歩いていましたが、
「徹夜で暗記する!」という挑戦は
しなかったんです。
それは、級外になったことで
そもそもそれが不可能な人数だった
ということもあるけれど
授業の教材研究の時間や睡眠時間を削って
名前を覚えることを手放し、
自分ができること、得意なことで
子どもたちに還元できることをやろう
と思ったからです。
育休中、私は自分の「できないこと」に対して
「無理な努力するのをやめる」ことに
挑戦してきました。
過剰適応の果てに擦り切れてしまうのではなく
ありのままの自分を自分で受け入れられるように
なりたいと思ったからです。
どうしても道に迷ってたどりつけないときは
タクシーに乗る。
料理が苦手なら買う。手伝いを頼む。
苦手なことを人にお願いして、
その代わり、自分の得意を
追求していこうと1年間やってきていました。
ブログやSNSでも、
自分のできない部分を開示して
発信していきました。
それで、離れていく人が入れば
それは仕方のないことだし
それでもいいと行ってくれる人たちと
つながっていこうと思いました。
でも。
学校で出会う子どもたちは
先生を選ぶことはできません。
「名前が覚えられない先生なんてイヤ。」
と思っても、その先生の授業を
受けるしかないのです。
告知しなくても、集客しなくても、
いつも45分間の授業を一緒に作ってくれる。
そういう相手に対して、
半年たっても名前を覚えられていない
という自分に絶望していたし
やっぱりどこか隠したい、ごまかしたいという
気持ちがこの最悪の事態を招いたのだ
と思いました。
つづく
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