「俺の家~最後に帰る場所~」


ここに住み着いて、もうどの位たったんだろう…

古い家屋が建ち並ぶ街で、おれは野良猫の子として産まれた。
母親の顔は、いまいち覚えていないけど、どこかの家の飼いネコだったようだ。
なぜなら、母さんの首には、美しい音色の鈴がついていたから。
母さんが動くたびに「チリン チリン」と鳴る音は、今でも忘れられない。

俺は、他の兄弟と一緒に、母さんに連れられて、どこかの家に行った。
たぶん、母さんの家だったと思う。
母さんが、俺達兄弟を咥えて、家の中に入ると、
「あら!産まれちゃったの?困ったわね。また、捨てて来なくちゃ!」と、人間の声が聞こえた

その後は、余り記憶にないが、箱に入れられて、蓋が閉められた。
真っ暗だった。

そして、次に蓋が開けられたのは、随分たってからだったと思う。
子供の顔が見えた
そして、蓋が開けられたまま、子供はどこかへ行ってしまった。

俺は、箱からはい出した。
兄弟とは、その後一回も会っていない。

俺は、歩きながら母さんを探したが、知らない大きな公園の中をぐるぐる回るだけで、どこへ行けば良いのか、どこへ行けば母さんに会えるかもわからなかった。

そんな時…俺は、ばあちゃんと出会ったんだ。
ばあちゃんは、手に美味しそうな匂いの食べ物を持っていた。
「あら、どうしたの?子猫が1匹でこんな所に…。ああ、また捨て猫されたのね。ここの公園はよく猫が捨てられるの。可愛そうに、こっちへいらっしゃい。お腹空いているでしょう?」
ばあちゃんは、その食べ物を、俺の前に置いた。
俺は、無我夢中で空腹を満たした。食べて食べて、食べ続けた。
そして、満腹になった。
すると、ばあちゃんは、俺に言った。
「うちへいらっしゃい」
でも、俺は急に怖くなって、その場を逃げ出した。

しばらく、草の陰から様子を見ていた。
ばあちゃんは、俺を探しているようだったが、そのうち諦めて帰り始めた。
俺は、急に心細くなって、ばあちゃんに気付かれないように後をつけた。

少し歩くと、ばあちゃんは、1軒の家に入って行った。
そこが、そう、今の俺の家。ばあちゃんの家だった。

俺は、ばあちゃんの家の回りを探検した。
すると、庭の庇の下に、暖かそうな毛布の入った小屋が置いて有った。
俺は、慎重にそこに入った。

暖かい…

すぐに眠気に襲われて、俺は不安より眠気が勝り、そのまま寝てしまった。

気がつくと、朝になっていて、小屋の前に美味しそうなご飯が置かれていた。
辺りを見回すと、部屋の窓から、ばあちゃんが笑顔で俺を見ていた。

その日から、俺は、ばあちゃんの家の庭の小屋で寝起きをするようになった。

ばあちゃんは、とても優しかった。

夏は、小屋が涼しくなるように、風通しを良くしてくれた。
冬は、隙間風が入らないように、毛布を沢山入れてくれた。
雨の日は、濡れないように、庇を伸ばしてくれた。
風の日は、風除けを作ってくれた。

そして、毎日、清潔な水と、美味しいご飯を出してくれた。


近所の家でも、ご飯を出してくれた。
縁側に、座布団を置いてくれている所もあった。
誰にも、邪険にされる事もなく、平和な日々だった。

DCIM2859.JPG
※イメージ画像です

そう思うと、平和であっと言う間の18年間だったな。

小さい子猫の時に、ばあちゃんと出会って、日々暮らして行く中で、俺は立派な体格の雄猫になり、そして老猫になった。

「ミー助も、年をとったね。私も、もう87才よ。あなたより先に往かない様に、頑張って生きていなくちゃね」
そう言って、ばあちゃんは笑う。
確かに、ばあちゃんの顔には、更に深い皺が出来て、頭の毛は真っ白になっていた。
出会った頃のばあちゃんは、もう少し若かった気がするな。ハハハ。

そして、ばあちゃんは「ミー助が家の中に入りたがらないから、そのままお庭で暮らしているけど、ミー助も私の家族だからね。忘れちゃいけないよ。家族だからね。ここがミー助の家だからね」と、毎日俺に話しかけてくれた。

俺は、嬉しかった。自由に土を踏み、壁を歩き、他の家に遊びに行かれる。
時々、母さんや兄弟を探して歩いた。会えるはずもなかったけど…

家の中では生活をしなくても、俺は家猫。家族が居るんだ。
いや…居たんだと言うべきかも知れないな。

ある日、俺は何故か急に思い立って、3日間かけて、思い出の場所や、世話になった優しい人間の所や、仲間の所に会いに行った。
そして…、最後に、兄弟や母さんを探しに初めて遠出をした。無駄な事だとは分かっていたけど…。

18年間で、家に帰らなかったのは、これが初めてだった。
ばあちゃんが心配するのは分かっていたが、そうせざる終えなかった。
今、行っておかないと…何故かそう思えてならなかったから。

そして、俺は3日後に俺の家に帰って来た。
そうさ、家族の待つ、俺の家に。
小屋に入り体を横たえると、暖かい毛布が心地よかった。
「ああ、やっぱり家って良いな」

朝になったら、ばあちゃんが美味しいご飯を持って来てくれる。
優しい笑顔で言うんだ
「ミー助も私の家族だからね。忘れちゃいけないよ。家族だからね。ここがミー助の家だからね」

もうすぐ夜が明ける。
夜が明けるんだ…

ばあちゃん、俺はちゃんと家に帰って来たよ。
どこに居ても、どこへ行っても、帰る場所は家に決まっている。
家族が、そう、ばあちゃんが待っている家にさ。
ちゃんと家族の居る家に帰らないとね。

もうすぐ夜が明ける。

ばあちゃんが、暖かい湯気を立てた、美味しいご飯を持って玄関から出てくる。

ガチャ
玄関が開いた。もうすぐばあちゃんの笑顔が見られる。
遠目にばあちゃんの笑顔と、小走りに近づいてくる足音がする。

ああ、ばあちゃんの笑顔だ。
ねえ、ばあちゃん、俺は帰って来たよ。
でもさ、また行くね。
今回の外出はちょっと長くなりそうだよ。
なぜなら、今度は俺の新しい家まで行かなくちゃならないから。

持って行くものは、母さんの鈴の音と、ばあちゃんの笑顔。
そして、俺の家の毛布の温もり。

いつかまた、ばあちゃんに会えるまで、新しい家で待ってるからね。

18年間、ありがとう


小屋の中には、穏やかな表情で、冷たいミー助の体が暖かい毛布にくるまっていた。
そして、茶色の美しい毛は、朝日にキラキラと輝いていた。

終わり

明日の譲渡会でも多くの保護猫さんに優しい家族が迎えに来てくれますように…

☆ねこけん里親会開催☆

日時 2014年12月21日(日)

午後1時~午後5時

場所
 東京都練馬区豊玉北5-15 -12
アロマテラピーサロン「マシュマロー」
の入っているビルの2Fです。

交通
西武池袋線 練馬駅 徒歩1分
東京メトロ副都心線 練馬駅 徒歩1分
東京メトロ有楽町線 練馬駅 徒歩1分
都営地下鉄 大江戸線 練馬駅 徒歩1分
地図はこちら↓

家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪
保護猫の体調により、当日欠席となる子もおりますが、当日のお問い合わせはご遠慮頂けます様お願い申し上げます。

※譲渡会へお越し頂く際 予約等必要ありません。

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(↑詳しくはこちらをクリック)
上記より、条件・契約書をご確認ください。


2014年12月のNPO法人ねこけん譲渡会スケジュール
12月23日 火(祝) 板橋(会場ファイナル)
※2014年12月23日を持ちまして、板橋会場は閉鎖となります。
12月28日 落合※新規の会場です。
2015年は1月4日 落合からスタートとなります。


多頭飼育崩壊、TNR現場での保護が多く、引き続きご支援をお願いしております。

ご協力をお願い申し上げます。

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猫を救う為に、何卒ご協力をお願いいたします。

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