私は猫です。サビ猫です。
お母さんは三毛猫です。
お父さんは、近所で飼われている黒猫です。
お父さんは飼い猫なのですが、私とお母さんは野良猫です。

私は、兄弟3匹で、寒い日の朝に産まれました。

でも、産まれてすぐに、グレーのお兄ちゃんと、ミケのお姉ちゃんは動かなくなってしまいました。
お母さんは、動かなくなったお兄ちゃん達を必死に舐めて暖めましたが、お兄ちゃんもお姉ちゃんも動くことは有りませんでした。


独りだけ生き残った私は、お母さんから、お外で生きる猫としての生き方を教わりました。

大きな通りを渡るときは、車に気をつける事
知らない人間を見かけたら逃げる事
トイレは終わったら砂をかけること
爪とぎや、狩の仕方、御飯のある場所も教えて貰いました。
常に油断しないで居る事
沢山の事を教わりました。

用心深いお母さんのお陰で、私は5ヶ月の子猫に成長しました。

時々、猫嫌いの人間が、僕たちに水をかけたり、追い払ったりしたけど、私たちは逃げ切る知恵を身に付けていました。

今は冬です。毎日寒い日が続き、雪や雨が降り、私たちは御飯を見つける事が出来ない日が続きました。

「お母さん、お腹が空いたね」

お母さんは、辛そうな笑顔で答えました。
「そうね…。雨や雪が続くと、御飯を探しにも行かれない。でもね、空腹に耐えるのも、外で生きる猫の定めなのよ。明日は晴れる事を祈りましょう」
そう言って、私の毛繕いをしてくれました。
お母さんが舐めてくれると、私の空腹感は少し薄れるのです。

祈りが通じたのか、翌日は晴れて青空が広がっていました。

私とお母さんは、御飯を探しに出掛けました。

変な箱の中から美味しい臭いがします。
空腹に耐えられず、私は箱の中に首を突っ込みました。

「いけない!ダメ!!!!!」お母さんが走って来ました。
ガシャン!
扉が閉まり、私とお母さんは閉じ込められました。
「チッ!やっと掛かった。毎回庭にフンをして!この!迷惑な猫だ!」
そういうと、荒々しいおじさんは、私たちを箱ごと車に積み込み、保護センターと呼ばれる場所に向かいました。

そして、保護センターの前に私たちが入った箱を置いて、どこかへ行ってしまいました。


暫くすると違うおじさんが来ました。
「ああ、また捨てられた。どうしてこう命を簡単に捨てるのかね…」
大きなため息をつきながら、私たちを部屋に運びました。

「母猫はダメかもしれないけど、仔猫は里親さんが付くかもしれないね。本当は全員助けてあげたいのだけど、限界があるんだ…許して欲しい」

おじさんはそういうと、私を掴み他のケージに移しました。
「放せ!放してよ!お母さん!お母さんのところに戻して!戻してよ!」私は、持てる力全てで叫び暴れました。
しかし、檻の扉はびくともしません。

お母さんは「私の子供を返して!何処へ連れて行くの!返して!私の子供を!」と叫びながら、違う部屋へ連れて行かれてしまいました。

私は、怖くて寂しくて、泣き叫び暴れました。それでも、扉が開くことも、お母さんが戻ってくることも有りませんでした。
それでも、私は何時間も何時間も「お母さん!助けて!お母さん!」と叫び続けました。
いつの間にか、朝日が差し込み、外は明るくなっていました。
私は、叫び疲れて寝てしまっていたようです。

体中が痛い。暴れた時にあちこちにぶつかったようでした。

ガチャッと音がして、お母さんを連れ去ったおじさんが入って来ました。
私は体中で威嚇し、檻越しに攻撃をしました。
「お母さんを返せ!」

おじさんは悲しそうな顔で言いました。
「ごめんな…。本当に、ごめんな。仔猫なら生きる道がいくらか多い。だから、せめて仔猫だけでも救いたいと思ってお前さんだけを残したんだ」

「残した?えっ?お母さんは?私の優しいお母さんは?」私は必死の思いで訪ねましたが、おじさんには聞こえないようで、おじさんは私の檻に御飯と水を入れて出て行きました。

暫くして、今度はおじさんは女の人を連れて入って来ました。
「この子、何とか助けてくれないかな?」

「仔猫ね。OKですよ。5~6ヶ月かな…。」
そう言うと私の方に向かって
「私と行きましょう。新しい家族を見つけるのよ」
そういうと、檻を開けて私を小さい箱に移しました。
そして、私を連れ部屋を出ようとしました。

大変!此処で離れたら、私はお母さんを探せなくなってしまう!
もう頼れるのは、この女の人しか居ません。
私は、叫びました。「待って!待って!お母さんに会わせて!お願い!私のお母さんを助けて!私の優しいお母さんを!お願いします!」
体中の力を振り絞り叫びました。

「どうしたの?大丈夫よ。怖くないから」と女性は言いながら、部屋を出ました。
そして、どこかへ向かっておじさんと並んで歩き始めました。
私の入れられている箱からは外が見えにくく、何処をどう歩いているのか?何も分かりません。
でも、私は諦めず叫び続けました。
廊下らしき通路を通って、ひとつの扉の前を通過しようとした時、

「何処に居るの?私の可愛い子!ひと目で良いから逢いたい!お願い、此処を開けて!」と小さい叫びが聞こえました。

お母さんだ!

私は、間違いなく、私を探しているお母さんの声を聞きました!
「お願い!私のお母さんを助けて!私の優しいお母さんを!お願いします!お母さん!何処?お母さん!」
暴れまくり、叫びまくり、私は必死に女の人に頼みました。

すると…その女性が立ち止まりました。
「あなたの声に答えるように鳴いている猫の声がするわね…」

すると、おじさんが「この子の母猫が居るんです。人馴れはまったくしていないし、攻撃も凄いので、里親探しは無理かなと…」

「その母猫に会わせてください」

女の人は、私の入った箱ごと部屋に入りました。

「お母さん!私は此処よ!お母さん!」
「ああ!私の可愛い子!姿を見せて!これが最後の別れなら!せめて顔を見せて!」
「お母さん!お母さん!離れたくない!お母さん!」
私は、泣きながら叫びました!
お母さんも叫んでいました。

暫く、私たちの声を聞いていた女性は、おじさんに言いました。
「母猫も引き取ります」

「ええっ!本当かい?本当に?良いのかい?」

「はい。こんなに呼び合っている親子を引き離すようでは、私は一生後悔するでしょう。猫にだって親子の愛情が有りますから。それに、毎日救う命と救えない命の選択を迫られるおじさんの方が、何百倍も「親子を引き離したくない。母猫にも生きる道を作って欲しい」と願っているでしょう?」
女性は優しい笑顔でおじさんを見ました。

おじさんは、「良かった。母猫は今日の午後殺処分になる予定だったんだよ」と言いながら、人目もはばからず、鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにしていた。

今私は、その女の人の家の大きなケージの中で、お母さんと暮らしています。
今では、人間は怖くない生き物で、私たちを救おうとしてくれる優しい人間もいる事が分かりました。
だから、私もお母さんも、少しずつ、女の人との距離を縮めています。
清潔なベッドと美味しい御飯、暖かい室内で安心して暮らしています。

いずれは、私とお母さんは離れて暮らす事になるかも知れません。
それでも、私たちは幸せになれると思います。
だって、大きくなれば、人間だって親離れしますよね?私たちも同じです。
親離れは自然の事です。
そして、私たちは人間のそれよりも、ずっと早く親から独り立ちします。
そうしなければ、生きていかれないようで、いつのまにかそういう習性になったみたいです。

私もお母さんも、今生きています。一緒に生きています。
私達にとって、「安心して生きている」これ以上の幸せは有りません。

それにしても、どうして人間は私たちの命を、いとも簡単に奪おうとするのでしょうか?
私たちも、地球上に共存して生きている…、生きる権利があるはずの命なのに…
人間は、どうして私たちの命と生活、生きる権利を奪うのでしょうか…?

終わり(この物語はフィクションです)



◆次回ねこけん里親会◆

日時3月10日(日)午後1時~午後5時


場所 東京都板橋区志村1-32-25

交通 都営三田線 志村坂上駅下車 徒歩約5分

スーパーサントクの前( コインパーキングあり)

他にも家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪

※里親さんへのお願い

下記URLより、条件・契約書をご確認ください。

①終生飼育 ②完全室内飼養 ③不妊・去勢手術 ④医療費の負担 などの条件や、里親さんになっていただく手順などを記載しています。

http://hama-sush-jp.pro/naoofjapan/theme-10043762276.html

『NPO法人ねこけん』

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