「グルルの家」

僕はある日、知らない場所で置き去りにされた。
キャリーバックから、出されて、知らない空き地にポンと投げるように捨てられた。
捨てられたんだ。
だって、それ以降、僕の飼い主は迎えには来なかったから。

知らない場所は怖くて怖くて…
暫くは、物陰に隠れて震えながらじっとしていた。

じっとしていてもお腹が空く。
僕は、勇気を振り絞って、物陰からそろそろと這い出した。

「へえ~、広いな。此処は何処なんだろう?」

今まで家の中しか知らない僕にとって、空き地はリビングよりも広かった。

塀にそって、そろそろと歩いた。
何も無い…。誰も居ない…。
だんだん恐さにも慣れて来たので、思い切ってどんどん歩いた。

暫く歩くと、何も無かった空き地の風景に、ぽつぽつと家が見えて来た。

「あっ、人間の家が有った!」

僕は元気が出てきた。
また、暖かい家の中で優しい人間が僕を包んでくれる!きっとそう!
そして、家の並ぶ方向へどんどん歩いた。

近くまで行くと、沢山の家が並んでいた。
僕は、また暖かい家の中で暮らせると思って、庭から入って縁側に飛び乗った。

窓ガラスをカリカリとたたいて見た。
でも…。誰も出てきてくれない。
「留守なのかな…」

隣の家に行ってみた。

同じように窓ガラスをカリカリとたたいてみた。
すると、カーテンが開いて、女の人が顔を出した。

僕は、助かった~美味しい御飯を食べさせてもらえる!と思って、「ニャー」と声をかけた。

すると、その女の人は窓を開けると、僕に向かっていきなり水をかけた。
「また野良猫!」と怒鳴った。

僕は驚いて、一目散に逃げ出した。

「僕…何も悪いことしていないのに、何故水をかけられたのかな…?お腹が空いているから御飯を貰おうと思っただけなのに…」

濡れた毛を舐めて乾かした。

そして、また歩き出した。

「優しい人間の家はどこかな…」

僕は、空腹で倒れそうになるまで歩いた。
そして、また1軒の家の庭から縁側に飛び乗って、窓をカリカリしてみた。

今度は、女の子が顔を出した。
その子は、僕を不思議そうな顔で見つめて、少し首を傾げた。
そして、「お母さん、庭に猫さんが居るよ」と言いながら部屋の中に向かって走って行ってしまった。

「また水をかけられちゃうかな?」
僕は油断しないで、逃げる体制を整えた。

部屋の奥から、女の子がお母さんと一緒に出てきた。
女の子が、僕に話しかけた。
「猫さん、何処から来たの?」

「ニャー」

お母さんは、少し困ったような表情で「困ったわね。何処から来たのかしら?迷子かしら?」

「ニャー」

「お腹が空いているみたいね。美香ちゃん、ミルクを上げてみましょう」
お母さんが、暖かいミルクをお皿に入れて、僕の前に差し出した。

僕は、無我夢中で飲んだ。

「あら…ずいぶんお腹が空いていたのね…可愛そうに…」

お母さんは、また部屋の奥へ行ってしまった。

女の子は、僕がミルクを飲む所をずっと座って見ている。

暫くすると、お母さんは、ささみを茹でた物を持ってきて
「これたべる?うちには猫の御飯が無いのよ。ごめんね」と言いながら僕にくれた。

美味しい!自然と喉がグルルと鳴った。

「お母さん、この猫さん、食べながら何かお話しているね。グルルって言っている。ウフフ」

僕は、あっと言う間にささみを平らげた。

そして、そのまま縁側で毛繕いを始めた。
歩き疲れて、体が疲れていた僕は、眠くなってきて、そのまま縁側寝てしまった。

どのくらい寝ていたのか…
起きると、日は沈んで、すっかり夜になっていた。

ふと縁側を見ると、暖かそうな小さな家が置いて有った。
「あれっ?これ僕の家かな?入って良いのかな?」
僕は、そろそろと入ってみた。
中は、毛布が敷いてあり、暖かかった。
すっぽりと毛布に包まっていると、また眠くなって寝てしまった。

何か美味しい匂いがする…

僕は、漂ってくる美味しそうな匂いで目が覚めた。
家から出て、縁側で伸びをした。
「気持いいな~」
すると、昨日の女の子が窓から顔を出した。

「あっ、猫さん、おはよう!昨日はよく眠れた?」
そう言うと、手に器を持って、出てきた。

「はい。猫さん。御飯ですよ」

器には、キャットフードが入っていた。

僕は、懐かしい匂いに、お腹がグウと鳴った。

「私、美香って言うの。あなたのお名前は?」

「ニャーグルル」

「そう。グルルって言うのね。グルル宜しくね」

「ニャーグルル」

その日から、僕は美香ちゃんと友達になった。
そして美香ちゃんの家の縁側の猫ハウスで暮らしている。

毎朝、毎晩、美味しい御飯を貰って、美香ちゃんと遊んでいる。
暖かい日は、縁側で日向ぼっこ。寒い日は猫ハウスで毛布に包まる。

お母さんが言ったんだ「ごめんね、グルル。美香はアレルギーがあるから、あなたを家の中に入れることが出来ないの。ごめんね」

問題ないよ。全然OK!だって、僕、美香ちゃんに新しい首輪も付けて貰ったし、お母さんには迷子札まで付けてもらったもん。
もう、捨て猫じゃないもん。

僕が、此処に来る前に、僕の飼い主は「あなたをどこかに捨てなくちゃならないの。近所の人から苦情が出てしまって…」って言いながら、僕をキャリーバックに入れて、此処へ連れて来て置き去りにした。

何ヶ月も御飯を食べさせてくれていた飼い主に捨てられた。僕は悪いことはしていないのに、捨てられた。
苦情ってな~に?
近所の人から、「車に猫の足跡が付いた」と苦情が来たから捨てなくちゃならないって言われて捨てられた。
車の上に乗っちゃいけないの?僕、知らなかったし…。

考えても考えても、結局未だに、何故僕が捨てられなくちゃ成らなかったのかは…分からない。
愛護センターという所で、安楽死って事をされなかった事だけは、ありがたいことなのかもしれない。

でも、今は僕は幸せ。だって、美香ちゃんと暮らして、お母さんに御飯を作って貰って…。
そうそう僕に無関心な感じのお父さんも、この間こっそり煮干をくれたんだ。
美味しかったよ。

最近、美香ちゃんが僕に言うんだ。
「グルル、私が大きくなったら、アレルギーなんてやっつけちゃうから、そうしたらグルル!一緒に家の中で暮らそうね」

僕は嬉しくて、また「グルル」って声が出ちゃうんだ。
そして、僕の家には「グルルの家」って表札が付いた。



◆ねこけん里親会◆

日時 2
月10日(日)午後1時~午後5時

場所 東京都板橋区志村1-32-25


交通 都営三田線 志村坂上駅下車 徒歩約5分

スーパーサントクの前( コインパーキングあり)

他にも家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪

※里親さんへのお願い

下記URLより、条件・契約書をご確認ください。

①終生飼育 ②完全室内飼養 ③不妊・去勢手術 ④医療費の負担 などの条件や、里親さんになっていただく手順などを記載しています。

http://hama-sush-jp.pro/naoofjapan/theme-10043762276.html

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