このお話はフィクションです

マルの大冒険(僕は冒険家)

僕はマル。
キジシロの男の子。

僕の兄弟は、三毛猫の妹「ミケ子」と人間の浩君。
僕とミケ子は、小さい時に、怪我と病気で死に掛けていたところをボランティア団体に保護されて、その後、浩君の家の家族になった。

いつも3人で遊んでいるんだ。

ミケ子は女の子だから、にゃんぷろをするとすぐに負けちゃうんだ。
だから、僕は浩君とにゃんぷろする方が面白いんだよね。

でもさ、浩君は、時々人間のお友達と玄関のドアから出ていっちゃうんだ。

僕とミケ子は、お母さんから「絶対にあのドアから出てはいけないよ。家の中なか、何処で遊んでも、何処で寝ても良いからね。約束よ」と言われている。
だから、僕とミケ子は、お母さんとの約束を守って、絶対にあのドアから出ない。

でもさぁ、あの茶色い大きなドアの向こうは、いったいどんな世界なんだろう…?

いつものように、浩君と、猫じゃらしで「狩りごっこ」をしていた。
この遊びは、僕もミケ子もだ~いすき!
だって、凄く興奮しちゃう!棒の先に付いたおもちゃを、狩の要領で狙って捕まえる。

この遊びはね、意外とミケ子が得意なんだ。
いつも僕より先に、おもちゃをGETする。凄い妹でしょう?

暫く遊んでいたら、浩君の人間の友達が遊びに来た。
僕達は4人で、超目いっぱい遊んだ。
かくれんぼや、追いかけっこ。狩りごっこも勿論やった。

ところが、浩君は急に、人間の友達とあの茶色のドアから出て行ってしまったんだ。

えええ~せっかく楽しくみんなで遊んでいたのに…
つまんないのぉ~。

僕は、茶色のドアの前で、浩君を呼んでみた。
返事は無い。
もう一度呼んでみた。
返事は無い。

そっとドアを触ってみた。

すると…

今まで絶対に動かなかったドアが、少しだけ動いた。
僕は、その隙間から鼻先を出して、外の匂いを嗅いでみた。

うっすらと浩君の匂いがする。
「浩君が外に居る。一緒に遊びたい!」
僕は、我慢できなくなって、ドアを押した。

ス~

ドアは開いた。

すると、今まで見た事もない、広い世界が広がっていた。

「お兄ちゃん!ダメよ!出てはダメ!お母さんとの約束を忘れたの?」
ミケ子が叫んだけど、
僕は冒険家だぞっ!好奇心を抑える事が出来る訳ないじゃん!さぁ!冒険だ!
僕は走り出た。

うわ~空が高いな~。
何か足が湿って気持悪いな、土って、これなんだ~。
玄関の外で僕は考えた。
飛び出したは良いけど、広い世界で、何処へ行ったら浩君がいるのか、分からない。

「でも、まあ何とかなるさ!」
とりあえず、塀に沿って歩いてみた。
四角い箱が置いてある。僕は、ジャンプして箱の上に登り、辺りを見回した。
「さて…浩君、何処に行っちゃったのかな???」
遠くを見ようと首を伸ばしたり、立ち上がって見たけど、浩君は見えない。

「こっちに行ってみよう!」
僕は、更に塀に沿って道を歩いた。

道は途中で、右に曲がっていた。
どんどん、歩いた。
見た事も無い木や、空を見上げて飛んでいる鳥を眺めた。
歩くのが楽しくなっていた。
「僕は大冒険家だぞ!」
どんどん、どんどん…。

気が付くと、辺りが暗くなってきた。

僕は、歩きながらだんだん心細くなって来た。
誰も居ないし、お腹も空いてきた。暗くなって怖いし…。

「怖いよ…。浩君、お母さん!ミケ子~」
僕は帰ろうと思って、来た道を引き返そうとした。
「あれっ?」
不思議な事に、来た道と違う道しか無い。
「どうしよう、帰り道が分からない…」
遠くから、カラスがカァ~カァ~鳴いている。

僕は、怖くなって駆け出した!
道は分からないけど、塀に沿って駆け出した。

すると、目の前に洞穴が有った。
僕は、その穴に逃げ込んだ。

「暫く隠れていよう!」

僕は、そこで小さくなって震えていた。
「寒いよ…。怖いよ。お母さん!お父さん!浩君!ミケ子…どうしよう…」

どのくらい隠れていたのか分からない程、時間がたった。
遠くで、声がする…
「マル~何処に居るの?マル~!」

あっ!誰か僕を呼んでいる。此処にいるのに…
僕は、呼びかけに答えようとした。

でも、どうした事か、声が出ない。
何度も叫ぼうとしたけど、声が出ない
動こうとしても動けない…。
体が強張って、僕は蹲ったまま動けなかった。
「どうしよう!僕は此処にいるのに」

僕が何とか返事をしようとしている間に
だんだんと、声も聞こえなくなってしまった。

凄く寒いし、辺りはもう真っ暗だ。
「怖いよ…。僕がお母さんとの約束を守らないで、ドアの外に出たから、こんな事になっちゃったんだ。僕は涙を堪えられなくなった。
ごめんなさい!もう約束を破りません。お母さん、ごめんなさい。猫の神様!僕を家族の元に戻して下さい!良い子になります!」
すると、不思議な事に、小さい光が僕を照らした。
「マル君居たよ!!こんな所に隠れて、動けなくなっている!」

ボランティアの人が、懐中電灯で僕を照らしていた。
首元を掴まれて、僕は穴から出された。

お母さんと、浩君が走ってきた。
「マル!こんな所に居たの!心配した~見つかって良かった!お庭に居たんだ!」
「マル!!使っていないプランターの下に居たのね!良かった~近くに居てくれてよかった!」

「あっ!浩君!お母さん!」僕は、安心して泣きそうになった。

僕は、お母さんに抱かかえられながら、僕が飛び出した茶色いドアから、家の中に入った。
暖かい。
浩君が、暖かいタオルで僕の足や顔を拭いてくれた。

お母さんは、泣きながら「マル!心配したのよ!もう絶対にドアから出てはダメよ。約束を守ってね」と言った。

ミケ子が走ってきて、毛繕いをしてくれた。

僕は、みんなの顔を見ながら謝った。
「お母さん、ごめんなさい。約束を破って心配をさせてごめんなさい。ミケ子もごめんね。」

僕の大冒険は、こうして終了した。

僕さ、やっぱり冒険家にはなれないみたい。だって、暖かくて安心な家の中で、みんなと一緒にいる方が、楽しいもん!

このお話はフィクションです

※飼い猫が脱走した時は、とにかく早く近所を捜索するのが良いようです。
子猫の場合、案外と敷地内のどこかに隠れているケースが多いそうです。
しかし、脱走にはとかく気をつけたいですよね。
万が一、見つからないで遠くへ行ってしまった場合、不幸な結末も少なくないそうです。
大切な家族です!十分に気をつけてあげましょうね!!!


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日時 1
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