奈々ちゃんは、どうして良いか分からなかった。お母さんに助けて貰おう!いや、学校の先生に助けて貰えるかも!色々と考えた。しかし、その時、奈々ちゃんは家の近くに「動物病院」と書かれた看板があった事を思い出した。

「動物の病院なら、この猫さんを助けて貰える!」

急いで、近くにあった板の上に猫を乗せると、走り出した。

そして、家の近くに来ると、一生懸命記憶を辿った。

「確か、あのポストが有る角を曲がって、公園の横に有ったはず…急がないと死んじゃう」

奈々ちゃんは、もっと走った。

公園が見えて来ると、看板が見えた。

虹色動物病院

「あそこだ!猫さん!もう少し我慢してね!」

鼻と口から血の泡を噴きながら、猫はぐったりとしていた。


緑のドアを開けると、病院の待合室らしく、椅子が並び、受付と書かれた小窓が有った。

「先生!猫さんを助けて下さい!死んじゃう!大変なの!」

受付の窓まで背が届かない奈々ちゃんは、大きな声で叫んだ。

すると、診察室と書かれた部屋から、白衣を着た大柄の男の人が出てきた。

奈々ちゃんは「先生!猫さんが怪我をしていて…血が出ているの。治してください」

先生は、奈々ちゃんの抱えている板に乗った猫を、じろりと見た。

そして、受け取ると診察室へ入って行った。

奈々ちゃんは、少し怖かったけど、急いで先生に付いて診察室に入った。

そこには、診察台と色々な機械や、薬の棚が並んでいた。

診察台に乗せられた猫は、血の泡を噴きながら横たわっている。

先生は、奈々ちゃんの手に付いた猫の血をアルコール綿で拭きながら言った。

「待合室で待っていて。猫さんを診察するから」


「はい」

奈々ちゃんは、がらんとした待合室に掛かっているお花畑の絵をぼんやりと眺めていた。

暫くすると、先生が出てきた。

「奈々ちゃん、猫さんを診察したよ。助かるかどうか分からないけど、治療をしたから」

「先生、ありがとうございます!猫さんに会って良い?」

先生は無言で頷いた。そして、銀色のケージが並んだ入院スペースに案内してくれた。

猫はケージの中に力無く横たわり、体中に真っ白い包帯が巻かれ、細い腕には点滴がつながっていた。

「猫さん、治して貰って良かったね。私、毎日お見舞いに来るね。先生、毎日お見舞いに来ても良いですか?」

いつもは無表情の先生が少し笑顔になって、頷いた。


奈々ちゃんは、毎日お見舞いに行った。

猫の状態は、相変わらずで、息をしているだけに見えた。

ただ、血が滲んだ包帯は、毎日新しい真っ白な包帯に変わっていた。


続く