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夜、僕はいつものように、すばしっこく道を渡ろうと、道路に飛び出した。

そこに、バイクが突っ込んできた。

避けようと思ったけど、体が動かない…。僕は、急ブレーキを掛けたバイクに、跳ね飛ばされた。

ポ~ンと体が宙を舞い、コンクリートの地面にドン!と落ちた。

びっくりした僕は、とにかくお母さんの所へ帰らなきゃと思って、飛び上がって駆け出した。

走って走って、走って…とにかく帰らなきゃ!それしか、頭に無かった。


無我夢中で走り去る僕を、バイクの人は驚いた表情で見ていた。


もう少しで、いつもの場所だっ!

そう思ったら、急に体から力が抜けて来た。

苦しいのか、痛いのか…分からないけど、力が入らない。

何かドロッとした温かい物が、口や鼻に流れてくる…。

とうとう、僕は、いつも場所で、立てなくなった。

アパートの階段から、お母さんが降りてきた。

「シマ!交通事故に遭ったの?シマ!シマ!!」

お母さんが何か言っている…

「お母さん!僕、バイクにぶつかった。どうしよう!!お母さん!ごめんなさい!僕、道に飛び出したんだ。」


居酒屋のオバサンも出てきて、泣き叫んでいる…

「シマ!どうしたの?死んじゃう!死んでしまう!」

オバサンはどこかへ泣き叫びながら電話をしているようだ。

何か、目が霞んできた…。

お母さん、僕…どうしたんだろう?


いつも、ご飯を運んでくる女の人が駆けつけて来た…いつもご飯をくれるおじさんが駆けつけてきた…


でも、僕はもう立てなかったし、何も聞こえないし、見えなかった。

女の人が、僕の身体を触って調べている。何で触るんだろう…。何も感じないのに…。

「ああ、もう瞳孔が開いて、心臓も動かない…」「硬くなって来てしまった」「シマ!死んじゃった…」

人間の話し声を感じる…

お母さんが、僕を見つめていたのだけが…分かった…。

つづく