ついに、最後のラインを越えてしまった。
私は彼に抱かれながら言えなかったアレを言った。
「忘れさせて」
「やっぱりか…
チュミが本気なら…」
「なら?」
「俺はマジでやるけど?」
…いいよね、最後だから彼の本気は受けて立とう。
結果、私は何度もイッてしまった。
もう寝る部分もないくらいシーツ濡らしてしまった。
「見られたくなかったな…清楚系で終わりたかったのに。」
「は?知ってるし。」
ですよね…。
この人は二重人格なのか?と思った。
ヘタレだと思っていた彼がこんな激しいセックスが出来るなんて想像できなかったから。
それにすごく上手だった。
どうすれば女性が気持ちいいのか、感じるのか、基本は全部わかっていた。
でも、もういいな…と思った。
彼も何回もイッてくれた。
汗まみれでぐったりしている。
そしてゲンナリしている表情を私は見逃さなかった。
いつもはこうじゃないことはその表情ですぐわかった。
忘れるためのやけくそでね。
ごめんね、やりたくないことしたね。お互い。
彼は自分の着ていたバスローブを私の下に敷いてくれた、そして私の着ていたバスローブは私の上にかけた。
彼に着るものはない…
彼は私を抱きしめて言った。
「幸せになってよ」
なれっこないけどね。
旦那とはもうわかりあえないから。
でも、大丈夫なんだ。
これで、ていちゃんを忘れられる。
だから、旦那を誰かと比べることなんてなくなるんだよ。
それに、私は長生きできない。
多分、先に逝くけどその時、後悔しない目標はひとつクリア出来たから最期は辛くないかもね。
最後のはずだったあのとき言えなかったから、言った。
「ありがとね」
心からそう思ったから。