彼が私の隣に横になって
「今度はチュミが来て…」
バスローブがはだけて初めて彼の姿を見た。
間接照明がわりとほどよい感じに彼の身体を照らした。
細身なのに体はガッチリしてるんだなぁ。
腕の筋肉はしっかりついてるし、腹筋も割れてる。
ただ、その肝心なところはその態勢からは見えない。
もう見慣れたそのものは別に誰のを見たところで動揺などしないけど。
経験は多いのに、やったことないプレイは多い。
それだけノーマルな道を歩んできたというならまだわかるけど偶然出会わなかっただけのようで「それが」ノーマルなセックスでも頻繁に行われていると知ったのは初体験から相当経ってからのことだった。
だから、やったことはない。
うまくできるかなんてわからない。
でも、これからセックスをする可能性のない私は1度やってみたかった。
慣れてると思われて痛かったら申し訳ないので
大真面目に自己申告してしまった。
「実は1度もやったことないんだけど…」
そのやり方を知ったのは最近の話で、それから棒のアイスクリームで練習して…
でも、もうそのときはすでに旦那には断られた。
「やってみる?」
「痛かったら言ってね」
その時初めて見た。
それについては特に感想はなかった。
どの男性のを見ても大して変わらないと言うのが感想といえるのかもしれない。
まず手で彼のモノを軽く握った。
けど、触ったのは初めてではない。
あの時は意味もわからなかったから、なにもできなかったけど。
ただ、薄暗い照明でも見える恥ずかしそうな大好きな彼の顔。
上手くできるかどうかわからないけどやってみた。
上体を起こして上から彼が見てる。
なんでこんなことに一生懸命になってるのか分からないけどやっぱりリスクを背負って来てくれた彼に少しは恩返ししたくて。
実際やってみたら案外アイスよりも難しい。
でも、ただ、気持ちよくなってもらいたい。
その一心で続けてみた。
「あっ、うんん…っ」
彼が仰け反りながら聞いたことのない声を出した。
びっくりして
「ごめん、痛かった?」
「…ねぇ…ほんとに…お前、初めてかよ…」
息も途絶え途絶えの彼。
「初めてだけど?」
「マジ、上手すぎなんだよ…」
知らなかった。
こんな艶っぽい顔するんだ、この人。
つくづくなにも知らないまま別れて、薄っぺらい付き合いをしてきたもんだと思った。
奥さんはきっと、こんな顔何度も見てるんだろうな。
いや、奥さんだけではない。
彼女で見られなかったのは私だけだろう。
「イッてもいいからね」
その顔がたまらなく愛しくてそんなことをいってしまった。
付き合ってたときにちゃんとできていたら…。
後悔はしていない。
ただ、もしも彼が私の初めての相手だったらどうだったのかは想像してみたかった。
だけど、あのときだって私たちは恋人ではなかったのだ。
どっちの道、私は恋人ではない人にヴァージンを捧げる運命だったということだ。
私の生き方は彼のせいでずいぶん狂わされた。
それは私の弱さから来たもので彼には罪はないのかもしれない。
だけど、されたことを考えたら大嫌いになったって当然なのに
いま、私はどうして
この人とこんなことになってるの?