主治医からの話が終わり、
私はその部屋で泣き崩れた。
とにかく悔しくて、そして怖くなって、
色々な感情が渦巻いていたと思う。
 
看護師さんは、私が父に付き添ってきたことも知ってる。
大泣きした顔をしながら、
父の病室へは戻れない。
かと言って、フロアの休憩室も
他の患者さんやお見舞いの方もいるので、
そこに行くことも憚られた。
 
「大丈夫?」
 
と私の背中をさすりながら、
心配して聞いてくれた看護師さんに、
 
「こんな顔をしてどこへ行けばいいのか分からない」
 
と言い、上記に書いた気持ちを話した。
 
「病院だから、誰かが泣いていても不思議じゃない」
 
その言葉が本当に嬉しかった。
 
そして少しの間だけ、その場をお借りすることができた。
 
10分ほど経ち、ようやく落ち着くことができたと思う。
母は先に父の元へ戻っていた。
 
私は、親戚に主治医から言われた事を
電話で伝えた。
父はまだ生きている。
けれど現実には別れの時間が迫っている。
遠くに住む親戚、伝えていなかった父の仕事仲間。
父の余命を伝えた。
 
 
 
 
 
 
それから病室へ戻る。
父には主治医の言葉は伝えなかった。
これから身体に起こる反応。
便も尿も出なくなる。
点滴は最小限。
食事は出してもらったが、
食欲はあまりなかったように思う。
 
どのようにして帰ったか覚えてないが、
葬儀に向けて準備を始めた。