舌を頼りに 30年間食べもの絵日記を描き続けている 雑食性サラリーマンです。
食記・九州編より⑥・住吉亭
実は私はラーメンをあまり食べない人間なのだが、たぶん福岡にいた2年間にレベルの高いとんこつラーメンを食べすぎた反動なのかも知れないと思う。
私が一番好きだったとんこつラーメンの店は住吉亭という店だ。私が福岡へ行った頃は現在の場所より駅に近い博多駅前4丁目にあった。私が住んでいたのも博多駅前4丁目だったので、住吉亭は家から一番近いラーメン屋でもあったのだ。一番近いラーメン屋が一番旨い(と自分では思っていた)ラーメン屋だというのはかなり幸せなことである。
九州というと何となく温暖な気候だと思ってしまうが、福岡の冬は結構厳しい寒さだ。でも玄海灘から冷たい北風の吹き付ける夜など、住吉亭を訪れ、骨髄から溶け出したゼラチン質が膜を張ったスープをすすれば、体は芯から温まった、ひきかけていた風邪も吹っ飛んだ。
博多では葱は青い薬味用のコウトウ葱を使う店が多いが、この店は普通の葱を使っていた、その葱の青い所の内部のねばねばした部分ととんこつスープが溶け合った味は今でも忘れられない。博多ラーメンの店ではテーブルないしカウンターには辛子高菜と紅生姜が必ず置いてある。私はラーメンにこれらを投入することが嫌いだったので、ずっと手を出さないでいたのだが、この辛子高菜と紅生姜を白メシにのっけて食べると旨いということを教えてくれたのもここのご主人だった。
住吉亭からほど近い場所に全日空ホテルがあったため、とあるガイドブックには全日空のキャビンクルーが良く来ると書いてあり、確か私も最初はその殺し文句に惹かれて店を訪れたように記憶しているが、結局一回もそれらしき方々には遭遇しなかった。
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