舌を頼りに 30年間食べもの絵日記を描き続けている 雑食性サラリーマンです。
食記・九州編より⑤・イル ド フランス
私は福岡へ行くまでフランス料理にもフランスにも全く興味のない人間だった。あのころ私は週刊文春に連載されていた山本益弘の「考える舌」というコラムを愛読していたのだが、フレンチの記事は読み飛ばしていたくらいだ。その「考える舌」の最終回が、当時福岡にあったイル ド フランスというフレンチの店だった。
フレンチに興味がない私ではあったが、山本益弘が絶賛していたので、現在の妻と最初はデジュネで訪れたのが、やはり転勤した90年8月のことである。こういうことを実行するのは、私は早い。そしてこの初訪問で私はフランス料理に目覚めるのである。たぶんそれまでまともなフランス料理なんて食べていなかったのだ。
最初の時に食べたのはソーモン(サーモン)のムースと牛ヒレ肉のパイ包み焼きだったが、それまでに食べた鮭や牛とはまったく違う味だった。私と妻が結婚したのは翌年3月だが、以後、福岡を去るまでずっと、毎月一回週末の夜にイル ド フランスを訪れることが私達にとって無上の喜びだった。
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