舌を頼りに 30年間食べもの絵日記を描き続けている 雑食性サラリーマンです。
食記・九州編より④・南十字星
1975年のベトナム戦争終結以降、ボートピープルと呼ばれた多くのベトナム難民が、粗末な船で命からがら海を渡って日本にもやってきた。
この店はそんなボートピープルの家族が営んでいた店だった、もちろんベトナム料理屋である。今もあるのかどうかは確認していないが、店は博多駅の筑紫口から15分ほど歩いたところにあった。福岡へ引っ越してから10日後の夜に、名古屋から遊びにきていた現在の妻と一緒に訪れたのだが、何しろベトナム料理なんて初めて食べたのであんまりよく覚えていない。当時はまだ絵も描いていないし。ただ夜9時ぐらいからは家族の食事の時間らしく、私達の隣のテーブルで家族全員で夕食を食べだしたのにはびっくりした。気のせいか彼らのテーブルに並ぶ料理の方が、自分たちの食べているものより美味しそうに見えた。
ベトナム料理ではもう一軒、博多駅ちかくにあったDANGという店もよく行った。こちらは難民でなく日本人女性と結婚したベトナム人のご主人が料理を作っていたが、揚げ春巻きにミントの葉を添えて食べると、歯を磨きながら食事をしているような気分で、慣れないうちは戸惑ったものである。
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