お読み頂きありがとうございます、成田あす香です。
11月5日(木)は宮崎から特急に3時間乗って大分へ…ドキュメンタリー映画「風は生きよという」を観てきました。
これは、人工呼吸器を使って自立生活を送っている人達の様子が描かれた映画です。
実は、この作品に主演している海老原宏美さんが、私の高校の合唱部の後輩なんです。
トークショーのために、東京から大分まで海老原さんが来られると聴き、私もかけつけました。
現在、福岡で働いている、高校合唱部の親友とも、大分で再会♪♪
海老原さんのことを「えびちゃん」と合唱の仲間は呼んでいますので、この後はえびちゃんと書きますね。
えびちゃんは ” 脊髄性筋萎縮症 ” という、徐々に筋力が低下していく病気をもって産まれました。
余命3年と言われたところ、元気に成長し、車椅子で普通の学校に通って大学まで卒業されました。
私はえびちゃんと直接一緒に高校時代を過ごした訳ではなく、卒業して学校に遊びに行ったら車椅子のえびちゃんがいて、「へ~部活の仲間もみんな助けていて、すごいなー」と見ていました。
しかし、話を聞くと、小・中・高校とも過去に車椅子の子どもが在学した事はなく、えびちゃんのお母さんは「前例がない」という言葉と戦いながら、普通学校の進学の道を切り開いて来られたそうです。
現在、えびちゃんは車椅子と人工呼吸器を使い、ほぼ24時間ヘルパーさんの介助を受けながら、一人暮らしをしています。
ヘルパーさんを確保するために、地域のお宅に自らポスティングまでするんです。すごい行動力ですよね。
私は、えびちゃんがポスティングをしていることをFacebookの投稿で知りまして感銘を受けていたのですが、映画を観ると実際にポストに入れるのはヘルパーさんと分かりました。
よく考えれば、当たり前の事なのですが、Facebookの投稿ではそれが全く感じられませんでした。
えびちゃんは、著書「まぁ、空気でも吸って-人と社会:人工呼吸器の風がつなぐもの」の中で、「城を造ったのは殿様だけど、実際に造るのは別の人ですよね」という内容を書かれています。
それを読んで確かにそうだな…と思いましたが、えびちゃんは本当に的確にヘルパーさんに指示をして、自分の手となり足となり動いてもらっていました。
これって「リーダー」に必須で求められる力ですよね。
このように、人に頼るべきところは頼り、自分にしかできないことにエネルギーを注いで、誰かの役に立つ自分を目指す、これが「自立」ということだと思いました。
うーん…果たして、私はどれだけ自立ができているかしら。
トークショーにはもう1人、北海道の北見市から渡部哲也さんもいらっしゃいました。
渡部さんは26歳の時に筋萎縮性側索硬化症という、段々と筋肉が動かなくなっていく病気を発症しました。
渡部さんは奥様と子どもも3人いて、会社勤めをされていました。
昔は病気が受け入れられず奥様に当たる事や死にたいと考える事も何度もあったけれど、今は病気が進行しても立ち向かいながら葛藤している自分に変わったそうです。
渡部さんの話された言葉の中で「信頼」という言葉が、なぜか強く私の心に留まりました。
お二人の自己紹介の後に映画の上映があり、えびちゃんが小学校で講演をするシーンがありました。
講演が終わった後、子供達が車椅子のえびちゃんを階段から下ろすのを手伝いたいと言います。
えびちゃんは「いいよー。ここと、後ろを持ってね。残りの人はここ」と子供達に話して、子供達10人位がえびちゃんを下ろしはじめました。
映画に入っているのだから間違いなく落ちないはずですが、私はハラハラドキドキしました。
階段を下りて行く様子を見ながら、子供達に自分の身を任せたえびちゃんもすごいし、止めなかった先生もすごいなと思いました。
ふと、渡部さんの話された「信頼」という言葉が鮮明に頭に浮かびました。
自分の言いたいことだけを伝えたら、あとは相手に自分を委ねる。
「ああ、これが信頼っていうんだ」と感じました。
上映のあとに、質問コーナーがありましたので、ヘルパーさんに伺ってみました。
『渡部さんや海老原さんのヘルパーになって良かった事や、健常者の人に伝えたい事はなんですか?』
渡部さんのヘルパーさんのお一人は、次のように語られました。
「この仕事をするまで、地域で障害者が家で暮らしているなんて、思いもしなかった。
実際に一緒にいて、地域で生活する大切さや素晴らしさが分かった。人間としての望ましい姿だと思う」
渡部さんのヘルパーのもうお1人の方は、
ヘルパーという仕事自体が初めてで、声が出せないため独自のコミュニケーション法で会話をされる渡部さんの介助をすることになり、
「最初は、外国人のような第一印象。コミュニケーションがとれるようになってくると、同じ人間だと感じた」と語られました。
最後に海老原さんのヘルパーさんの女性のお言葉。
「本当はあちこちに障害者がいたのに、今まではスルーして見えていなかったと分かった。
相手の立場に立つ事はできないけれど、相手に感心をもつことが大事。
障害者も普通の人。海老原さんは飲んだくれたり、終電を逃したり…。
もっと地域で目に触れる機会が増えて欲しいと思う。
海老原さんからは行動力・意志の強さなど学ぶ所がいっぱいです。」
海老原さんが、映画を終えて話されたことがあります。
「私たち(海老原さんと渡部さん)のような声の大きい障害者がスゴイとか、声が大きいから自立しているとか、価値があるのではない。
映画の中に出てくる、ほとんどコミュニケーションのとれない新居くんのような人にも価値がある。
周りの人が、彼を通して何かを感じ考える、そのきっかけを与えていることに存在価値がある」
映画に出てくる新居優太郎さんにできることは、まばたきでYes・Noを表現すること。
周りの人が質問をして、新居くんの意志を確認していきますが、本当に彼はそう思っているのか…。
映画を観ながら、私は常にモヤモヤした気持ちでした。
白黒はっきりつけられない、それでも最善を探って、これでいいか分からないけど進む。
きっと、これは何事においても大事なのではないでしょうか。
それが「生きる」ということではないかと、新居くんと周りの人たちに気づかせていただきました。
今回の上映会は、主催が「自立生活センター ぐっどらいふ大分」という障害をもつ方の当事者団体であることもあり、障害者の方が多く来られていました。
しかし、私は、この映画を健康で五体満足な方にこそ観て欲しいと思いました。
この映画は「1人の人間としてどう生きていくか」という質問を観る人に投げかけてくれる作品だと、私は思います。
それから、えびちゃんこと海老原宏美さんの著書「まぁ、空気でも吸って-人と社会:人工呼吸器の風がつなぐもの」もおススメです。
これを読んで、私は「自分の子育ては間違っていたのでは…」と思ったほどの、子育て本でもあります。



