このところの更新では概念的な話が続いていたので、
今回はまた少し、携帯ソーシャルアプリを作る際の方法論を考察してみようと思います。


今回は


「アプリのターゲットを明確にする」



ということについて。


現代のビジネスではもはや常識となっていますが、
プロダクトには「ターゲット」の設定が重要です。

この考え方が画一的なプロダクトを世の中に氾濫させる元凶だという意見もありますが、
アートではなくあくまでビジネスとしてプロダクトを作るうえで、
これは避けて通れない部分だと思います。


蛇足ですが、あのスタジオジブリの作品についても、
制作秘話などを読むと、たまに
「現代に求められているのは○○なんだ!」
「いや××が求められているんです!」
なんていう激論があった、という話を(うろ覚えですが)見たりします。

彼らは生粋のクリエイター集団なのだと思いますが、
そんな方々も、知ってか知らずか、
「ターゲットに何を提供するか」
という発想をしているということです。
ターゲット設定からプロダクトを考えるのが重要である、ということの好例かと思います。


ということで、ターゲットの話。



そもそものところですが、現在出ている携帯ソーシャルゲームにおいて、
ターゲットのことを深く掘り下げて考えて作られてるというゲームは、
思いのほか、というよりも相当少ないと見ています。


モバゲータウンにゲームを出しているSAPが、GREEに全く同じものを出したりしている、
という事象がしばしば見られるというのが象徴的だと思います。


本来かなり質のちがうプラットフォームであるにもかかわらず同じものを提供するというのは、
ターゲットについてあまり深堀りしていない可能性が高いと思います。
※提供SAPのリソースの問題というのはさておき。


当然ながら、ターゲットについて深堀りして考え、
ターゲットが求めているものを提供したほうがヒットアプリをつくりやすいです。


では実際に企画する際にどういう思考アプローチをすればいいのか?


やや簡便ですが、そういうときには以下のように言語化してみるとまとめやすいです。



【企画とターゲットの整合性チェックフロー】
1.アプリを出そうと思っているプラットフォームは○○だが、
2.そのプラットフォームには「○○したい」という欲求を持っているユーザーが多く、
3.事実、「○○」や「○○」というアプリはこの部分が受けてヒットしていると思われる
  →または「○○」というゲームや「××」という漫画がこういう部分を提供してヒットしている など
4.よって、このアプリではユーザーの欲求に対して「○○」という形で欲求を満たすようにすることで
5.他のアプリにはない快感をユーザーに与えることができる

※「○○」にはそれぞれ、適宜言葉を当てはめます





例えば『ドリームプロデューサー』であれば、


1.アプリを出そうと思っているプラットフォームはモバゲータウンだが、
2.モバゲーには「とにかくカッコいい自分を疑似体験したい!」という欲求を持っているユーザーが多く、
3.事実「くにおくん」「戦国ロワイヤル」というアプリはこういう部分でモバゲーにてヒットしているし、
 「ラブプラス」をはじめとしたヒット恋愛ゲームの主人公はこういうカッコいい主人公であることが多いようだ。
4.このアプリでは「『女の子に対していいことをしてあげつつも飄々としている自分』を演じる」という形で
5.他のアプリにはない「俺ってカッコいい!」という快感を与えることができる



という形で、ターゲットの欲求と企画の整合性をとっていました。


少し補足説明すると、4の部分について、

「花の慶次」はとにかく自分の信念を貫きつつ、結果的に人を助けているというのが格好いい
「シティーハンター」も下心丸出しのようでいて、結果的には見返り無しで女の子を助けている
・「とある魔術の禁書目録(ライトノベル原作の人気アニメ」でも同様に主人公が女の子を助けている
→見返りを期待せずに女の子を助けて、相手を惚れさせつつも自分は飄々としているというのが
 世間的にはとてもカッコいいと思われているに違いない!
 確かに自分もそういう人間になりたいぞ!



という思考をたどって導き出した内容になります。
「?」という部分もあるでしょうがここでは深く説明しません。




この思考パターンでアプリを企画する際に重要なことですが、
2や3の部分については、プラットフォームや市場の競合についての研究が必須で、
しかも生半可ではない深堀りの仕方が必要になってきます。


慣れていないうちは、勝手に自分にとって都合のいいターゲット像を作り出し、
自分が知っている狭い範囲の中から、強引に事例を引っ張り出してきたりしてしまいます。


特に、この「ターゲット像を明確にするためのプラットフォーム研究」や
「そのターゲットに対して既存のゲームを圧倒的に上回る面白さを探す」という作業は
長い間続けているととても大変な作業になるので、
はやく楽になりたいと思い、自分の希望をそのまま企画に落としてしまったりします。


「カイジ」の利根川さんの言葉を借りれば、
「腹をくくるのが早すぎる」という状態です。

「ここまでやったんだから、これでダメなら仕方ない!」と、
自分を納得させようとしてしまうわけです。



でも、それで納得するのはいつも、自分だけです。
ユーザーは納得しません。
ついでに言えば、自分より優秀な上司も納得しません。



こういう「腹をくくりたがるワナ」にはまらないための魔法の言葉が、


「で、怪盗ロワイヤルより面白いの?」


です。



怪盗ロワイヤルではなく釣りスタでもサンシャイン牧場でも海賊トレジャーでも
大ヒットしているアプリならなんでもいいのですが、

要は、ターゲット像がかぶるアプリをすでにやっているユーザーが、
そのアプリに乗り換えてくれるくらい面白いと自信を持って言えるのか
ということです。


ここを自問自答してみたときに、
考えの詰めが甘いと、絶対にボロが出てきます。
また、他人や上司に企画をプレゼンしてみせたとしても、
この問いかけに対する反応を見れば、絶対に詰めの甘さは露呈されます。


ターゲットのことをイメージしてみて、
そのターゲットが、すでにハマッている大ヒットアプリを捨ててでも自分のアプリをやってくれるのかどうか


そこに対して明確に答えることができない企画は、
大抵は日の目をみないまま沈んでいくことになると思います。

そうならないためにも、プラットフォームと競合アプリの研究は非常に重要ということです。



今回は以上です。



次回は「アプリの面白さとエレベータープレゼンテーション」というテーマにします。
アプリの面白さをスムーズに伝えるのがいかに重要かという話です。



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