チョメ氏が今日もまた麦茶のベーグルを焼いてるって話しを数時間前に書いたんだ。チョメ氏は今日お出かけだ。朝メッセージを貰ったんだ。チョメ氏は珍師匠とyuriちゃんに会いに行ったんだよ。「りんこさんの代わりにベーグルを連れて行くよ」メッセージにはそう書いてあった。
オラはちょっと泣いた。
うれし涙なのか何なのか自分でもよくわからない、そんな涙が
たらたらとこぼれた。
オラは、何事もなければ意外と何でも出来るようになった。
スーパーに行くにも、病院に行くのも、足がすくむ事が粗なくなった。時々ガタガタと震える事はあるけど、オラの行くところは基本家の周りだけだ。怖くなったら帰ればいい、それだけだ。
ブログの記事をUPした後で、オラは暫くベランダでぼんやりしていた。霞がかかって暖かい、変な陽気の中で、プランターの野菜に水をあげていたんだ。
季節外れに蒔いたカリフラワーが変な形で生っている。レモンの枝は随分切り落としたのに、もうワサワサと大きな葉を付けていた。
今頃はチョメ氏、師匠とyuriちゃんと仲良くお話ししている頃だろーか。それとも、もう帰り道だろーか。オラのベーグルはどんな形をしているんだろう。会いに行ったら実物を見る事が出来るんだな。不思議だ。オラの作ったベーグルをチョメ氏が作ってくれて、それを目の前にする事が出来るなんて今のオラには不思議な事でしかない。色々だ。色んなことを考えていたら、枯れ木の鉢の上にアゲハ蝶の羽だけが見えたんだ。
ベランダで冬を超えた蝶だろうか。それとも、枝を伸ばしたレモンを目がけてここまで来たのだろうか。何れにせよ、命はとうに絶えてしまっている。
彼らは怖くはないのだろうか。夏になる度に何度も彼らを見てきたけれど、飛び立つ時に、短い命に、彼らは恐怖を感じないのだろうか。知らない所に趣くままに飛び、こんな所で生涯を終える。オラの羽はボロボロだけど、飛べないコトに何の不満もなくなった。じっとしていれば、婿さん(仮がオラの全てになってくれる。
友だちにも、母親にも、父親にも、友人にも。オラの全てになってくれると婿さん(仮は言ったんだ。バーチャルだ。そんな事は解っているけど、それでいいと思っていたんだ。けど、アゲハ蝶の亡骸を見てオラはまた涙が出たんだよ。
オラも、もう一度飛んでみたい。好きな友人に会いに行って、緊張しぃしぃ話をしてみたい。チョメ氏はどんな人だろう。珍師匠は目の前に居ても面白い人だろうか。yuriちゃんはブログ通りさっぱりした人だね、こんなにやせっぽっちなのに、って言ってみたい。お菓子を交換したり、触ってみたりしたい。
考えなきゃ怖くない。欲張らなければオラはふつーに生きていける。怖くない怖くない。婿さん(仮の傍に居さえすれば何も怖い事は起きないんだ。
けど、チョメさん。
オラ、チョメさんに会ってみたい。みんなに会いたいよ。電車に乗って、お土産持って、みんなに会いに行ってみたいんだ。知らなかったよ。こんなに欲張りだったなんてさ。こんなに色んな事思っていたなんて驚きだ。
心底ね、てか、初めてね、自分のコトが気の毒に思えた。気の毒だけど、羽が取れてなくなってるわけじゃないんだ。飛び方を思い出せば、いつかみんなの所に行けるかもしれない。飛んでいた頃が遠すぎて、なかなか巧く思い出せないんだけど、確かに友達を目の前にして話していた記憶があるんだよ。オラにとって凄く大切な記憶。けど、よーやく気付いたよ。友達と居た記憶をいつまでもチンタラ持ち歩いて、何だよ!そんなもん、ってね、さっきよーやく捨てたよ。豪く手間のかかる人間でさ、呆れるわ。
オラも会いたい。
みんなに。
りんこ。
