男は未来を知る力を得た。男はまっ先に競馬に行った。未来を知る男にとってそれは当然のごとく買った馬券は当たった。男は喜び買いまくった。しかし、その興奮は次第に冷めていった。外れることのない行為は、次第に虚しさを感じるばかりだった。売り場へ交換に行く度にうかがわしく思われる 視線に堪えきれず、競馬場を後にした。当たって当たり前のギャンブルのつまらなさに、男は苛立ちさえ抱いた。歩いていると宝くじ売り場があった。男にはその店でいくらの当選金額が出るかはわかってはいたが、当選番号を探すのがおっくうだと気づき、通り過ぎた。これは誤算だった。しかも当選発表まで待つのもわずわらしかった。男は歩きながら考えた。株でも買うか?いや不動産でも買うかな?せっかく得たこの力を活かすには…と、そこで男はつまずき、しこたま膝頭を打った。痛みが走り、ズボンの裾をめくると血がにぢんでいた。ちくしょう!その瞬間男の力が働いた。男が一生のうちに経験すべき未来の痛みが男の脳裏に次々に浮かび続けた。男は狂わんばかりに恐怖にかられ、走る車の流れに飛び込んでいった…。