ホテルの入り口でギャルソンがふたりにお辞儀を。
「お待ちしておりました。汀さま。」
柚香と幸乃、丁寧にお辞儀を。
ギャルソン、
「ご案内いたします。」
ふたりを案内する。
10メートル先…ほどだろうか…。窓側の席に…。
藪岡、ふたりの姿を見てフィリップとサラに、
「お見えになりました。」
サラ、フィリップに合図を。フィリップ、ニコリと頷く。
柚香と幸乃、席に近づき丁寧に一礼。
その姿にフィリップ、思わず体を揺さぶりながらサラに…。
サラ、
「丁寧な挨拶に痛み入ります。」
すぐさまフィリップ、立ち上がり、先ずは柚香に、
「はじめまして、こんにちは。フィリップ・ピエールと申します。汀、柚香さん。」
その声に柚香も幸乃も目をパチクリと。
柚香、
「凄~~い、日本語、上手~~。私なんて…、フランス語、全く。」
幸乃もキョトンとして、
「ほんと、凄い。」
けれどもその時幸乃、僅かばかり両の目を真ん丸にさせて。
柚香、差し出された右手に自分の右手を。お辞儀しながら、
「汀柚香と申します。よろしくお願いします。」
すぐさまサラが通訳。
そして幸乃も同じようにフィリップと握手。幸乃、
「ありがとうございます。」
僅かに顔を左右に小刻みに振りながら、こちらもお辞儀をしながら。
そしてフィリップも、
「どうもありがとう。」
藪岡、そんな幸乃に、
「あの…、おばあさん…???」
柚香は祖母を見てキョトンと。
「おばあちゃん…。」
幸乃、僅かに、目の置き場所に困って、
「あ、いえ…。」
そして小さな咳払いを…。
「んん。…ごめんなさい。」
ギャルソンがふたりのために椅子を。
柚香と幸乃、
「あ、ありがとうございます。」
藪岡、幸乃を見て思わずクスリと。
「幸乃さん。おばあさん。」
幸乃、その声に、
「はい。」
キョトンと。
藪岡、ニコリとしながらも僅かに顔を傾げて、
「もしかして…、とは、思いますけど…。もしかして…、教授の事。俳優の…、ジャンレノに…。」
その声に幸乃、思わず顔を赤く。そして困ったように藪岡に、
「もぅ~~。先生~~。失礼に~~。」
その顔に藪岡、ニッコリと、そして、
「はははは。や~~っぱり~~。」
その会話に柚香、両眉を僅かに吊り上げて、祖母に体を傾けて、
「おばあちゃん。」
藪岡、柚香に、
「おばあさん、教授がフランスの映画俳優、ジャンレノに似てると思ったんです。」
柚香、増々両眉を吊り上げて、
「ジャンレノ…???」
藪岡、サラに話す。
するとサラ、
「ワ~~オ。かかかか。はいはい。良く言われます。」
サラ、フィリップに話す。
するとフィリップ。こちらは目を真ん丸に。
…けれども幸乃に、苦しい笑顔でもニコニコと、そして左手を振ってフランス語を。
サラ、
「とんでもない。あんな有名人ではありません。単なる精神科医です。」
ニッコリと。
幸乃、頭をコクリと。
「どうも、申し訳ありません。」
柚香は柚香で、
「ジャンレノって、誰…???フランスの…???」
藪岡も、
「私も初めて教授の顔を拝見して、あれ…???…って思いましたよ~~。そっか~~。柚香さんは知らなかったか~~。」
その声に柚香、申し訳なさそうに、
「ご…、ごめん…なさい。」
藪岡、ニコニコと、
「いえいえいえ。…では、とにかく。」
4人を前に、
「これから、素敵なお付き合いが出来ますように。まず乾杯から。そして、食べながら、ゆっくりと話を…。」
と、そこまで言って藪岡、柚香の顔を見て、
「柚香さんは…、ウーロン茶か、何か…、ジュース…。」
途端に柚香、体を縮こませるように、
「す、すみません。」
思わず顔を赤らめて。
藪岡、サラに、
「柚香さん、お酒は…、ダメなんです。体質に合わなくて。」
その声にサラ、
「う~~ん。」
そしてニッコリと、
「いえいえ。全然構いません。」
そのままフィリップに。
フィリップ、話を聞いて、数回頷き、そして柚香を見てニッコリと。
「大丈夫で~す。」
ワインから始まり料理へと…。
藪岡、柚香と幸乃に、
「いつもの食事スタイルで構いませんよ。緊張なさらないで。」
サラも笑顔で、
「えぇ~~、どうぞ~~。」
藪岡、ウェイターに、
「すみません。お箸を。」
ウェイター、
「畏まりました。」
そして…。
ふたりが上手に箸で食べてる景色を見てフィリップ、
「トレビアン。」
その声にサラもニッコリと。
フィリップがサラに…。
サラ、話を聞きながら大きく頷いて、そしてニッコリと。
サラ、藪岡に、
「日本文化の食生活には感銘を受けます。お箸の文化は…、確かに中国でもそうですが、日本の文化としても、非常に美しいものがあります。」
その話に藪岡、ニコニコと、
「おやおやおや。お褒めに預かり、ありがとうございます。」
両手をテーブルに。そして頭を下げる藪岡。
柚香と幸乃も、その姿を…。
けれどもサラが笑顔で、
「どうぞ、そのまま召し上がって。」
その声に頭をコクリとさせる柚香と幸乃。
フィリップがまたサラに…。

LIBRA~リブラ~ vol,206. サラ、「丁寧な挨拶に痛み入ります。」
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