そして将輝は自転車で帰って行った。
部屋に戻って理沙、スマホで杏美に、
「将輝、今、帰ったよ〜〜。」
その声にスマホ越しで杏美、
「何が将輝〜、今、帰ったよ〜〜ぅよ〜〜。た〜〜く〜〜。」
理沙、
「だ〜〜って〜〜。おとうさんもおかあさんも良いっていうんだも〜〜ん。」
「はいはい。んじゃ、兄貴に電話するから〜〜。」
理沙、ニコニコと、
「は〜〜い、待ってま〜〜す。」
通話を切って理沙、いそいそと…。
壁際にあるハンガ—ラックの洋服をあれこれと…。
そして、その隣にあるファンシーケースを開けてもいろいろと…。
ハンガーラックからは、
「こ…れ…、かな…???」
そして、ファンシーケースからはキュロットを。
「オッケ〜〜。」
理沙、数分掛かり、ベージュ系のキュロット。
フロントには黒のボタンが6個揃って付いてある。ウエストもベルト。
そして黒のバックル。そしてブラウン系のボーダー。半袖。
「これで、いっかな〜〜。」
そして車椅子毎180度転換して机の上に、スマホをあれこれと。
それから10数分後には、玄関のチャイムが鳴る。
理沙、瞬間、
「来たっ!!!」
そして…。ドアをノックして、
「理沙〜〜。水森さ〜〜ん。」
部屋の中から、
「は〜〜い。」
和奏、ドアを開けて、
「準備、出来たの…???…来たよ。」
その声に、
「あ〜〜、うん。今行く〜〜。」
和奏、玄関に。そして引き戸を開けて、
「こんにちは〜〜。」
引き戸の外、凡そ馨と同じくらいの身長の男性。
智樹、思わず目をパチクリとさせて、
「こ、こんにちは〜〜。きょ、今日は…、あ、あの…、すみません。ありがとうございます。」
そんな男性に和奏、ニッコリと、
「いいえ~~。丁度、準備、出来たようでしたから…。」
すると理沙、スルスルと玄関に。
引き戸の外の男性を見て、ほんのり顔を赤らめて、
「こんにちは~~。」
智樹も、
「こんにちは~~。」
そして理沙、母に、
「じゃ、おかあさん。」
和奏、顔をコクリと、
「うん。行ってらっしゃい。」
理沙、車椅子を反転させて、スロープをスルスルと。
瞬間、智樹、
「凄い。」
そして理沙、玄関を出て…。和奏はその後ろを…。車に辿り着いて…。
智樹、
「あ、あの…。」
和奏と理沙、同時に、
「後部席に…。」
理沙、母を見て、
「かかかか。」
和奏、理沙を見てニッコリと。
男性に、
「車は…、理沙、この子、今まで、家の車にも、後部席で…。」
智樹、
「あ、あ~~。はい。うんうん。どうぞ。」
理沙、
「すみませ~~ん。」
智樹、後部席のドアを開けて、
「大丈夫…???」
理沙、まだ顔を赤らめて、
「はい。大丈夫です。」
智樹、一連の動作を見て、
「凄~~い。なんとスムーズ。」
和奏、
「すみませんが…、車椅子は…後ろの…。」
「あ~~、はい。」
そして…。
智樹、和奏にお辞儀をして、
「じゃ、じゃ~~。」
和奏、
「お願いします。」
丁寧にお辞儀をして。
理沙、窓から母に手を振り…。和奏も同じく手を振る。
ゆっくりと車は動き出す。車が遠くなるまで見送る和奏。
車が角を曲がった。ようやく和奏、
「ふ~~。さてと。」
車の中で理沙、さっきから鼓動が高鳴っている。
智樹、運転しながらバッグミラーを、そして、
「ごめんね。無理に誘ってみたいで…。」
その声に理沙、
「あ、いいえ。」
いきなりの声に理沙、またまた鼓動が…。
「杏美の友達で、ありがとね。」
「あ、いえいえ。」
そして、1分程の沈黙。
智樹、
「あ、あの…、何処か、行きたいところって…。」
理沙、またいきなりの声に、
「あ、あ~~。はい。あ、いえ…。と、智樹…さんに…、お任せ…します。」
けれども、前からずっと、行きたいところは頭の中に…。
でも、頭には浮かんでいるが、口から出てこない。
「じゃ、じゃあ~~。とりあえず、どこかで、軽く、コーヒーか、何か…。」
「あ、あ~~。はい。」
智樹、それから20分程、車を走らせて。とあるイベント会場の近くの駐車場に…。
そして車から降りて、今度は後ろのトランクから車椅子を。ドアを開ける。
畳んである車椅子を。ドアの内側に。
理沙、
「あ、はい。ありがとうございます。大丈夫です。自分で出来ますから。」
智樹、その声に、
「あ、あ~~。うん。うんうんうん。」
ふと、杏美から電話で言われた事を思い出した。
「…理沙の事、あまり気を遣わないで。自分のやりたいようにやらせて。じゃないとあの子、怒るから…。」
その事を思い出しながら智樹、理沙を見守り、頭の中で、
「…凄い、全部自分で…。」
そうこうしている内に、理沙はしっかりと車椅子に。
智樹、
「凄いよ、理沙さん。完璧。」

信じて…良かった。 vol.231. そして将輝は自転車で帰って行った。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
