主演のシャーリーズ・セロンが激太りして臨んだ作品。
実話の連続殺人事件を映画化。
主人公の女性は、常に弱い立場にいました。
小さなころから親族に暴力と性的虐待を受け、
教育も施されず、長じてからも
生きるためのお金や食料のために
男性たちに性的に搾取され続けている主人公。
性的な商売につく女性は、現代でも、
往々にしていろんな被害を被ることが多いと言われます。
ましてや、特定の店舗に所属するわけでもない、
フリーで商売をする主人公が、
「買いたたかれて」いたことは想像に難くないでしょう。
彼女はある時よくない客についてしまい、
正当防衛から殺人を犯してしまいます。
彼女の転落はここから始まったように思えますが、
多分違うでしょう。
幼いころから、誰からも助けの手がなかったことが、
彼女を破滅にまで導いたんじゃないかと、感じてしまいます。
この作品は、ずっと哀しい残酷な物語が続くのですが、
中でも哀しいシーンが二つあります。
一つは、大家さんの男性とのやりとり。
主人公は、小さな倉庫のような部屋を借りているのですが、
そこの大家さんだけは、彼女のことを親身に気にかけてくれる人でした。
映画内では、唯一の理解者だと思います。
その大家さんが、主人公に「家賃を待ってほしい」と頼まれます。
彼は主人公を心配していましたから、支払い延長を快諾してくれます。
その時、主人公はさらっと言ってのけます。
「ありがとう。何なら体で払おうか?」と。
まるで、「肩でも揉むよ?」というくらいの軽さで。
それを聞いて、大家さんは一瞬哀しそうな顔をします。
自分の体をそんな風に軽く扱う彼女に、
男性にはこういう風にしか接することができなくなっている彼女に、
哀れさを感じたのでしょう。
もちろん大家さんはその申し出を断りますが、
主人公に、大家さんの哀しい気持ちは伝わっていないようでした。
もう一つは、主人公とパートナーとの会話。
主人公は、レズビアンの年下女性と親密な関係になります。
恋人を得た主人公は、ベッドに寝っ転がりながら
嬉しそうに二人の未来を語ります。
「自分は動物が好きだから、獣医師なんかいいな」と。
無邪気に、でも本気でそう語るのです。
獣医師になるためには、学校を出ていなくてはならないのに
主人公はそれすら知らないのです。
明るい未来の希望をそんな風に語る主人公を、
パートナーになった恋人は冷ややかに見つめるのです。
彼女に、
「人間には尊厳があり、だれもその尊厳を踏みにじってはいけない」と
教育してくれる人があり、彼女を守ってくれる人がいたならば、
こんな哀しい作品は生まれなかったことでしょう。
どうか、弱い立場の人々が、
取りこぼされることのない政治が行われることを、
願ってやみません。
メカより。