泣きすぎて顔の腫れた私が目覚めたのは、ホテルのプールサイドステージから聞こえる、ハワイアンミュージックのせい。
ほんと、天国かと思った。
なんていうのか、空気のキャパが広いっていうのか、うまく言えないけど
いいんだよ〜そのままでいいんだよ〜
っていう許されてる感じがすごくって、
あれ?わたしなんか問題あった?
別に大丈夫よね?
という気持ちに自然となれてしまう。
空・海・楽しげに歩く人たち。
きれいなものしか見えないし、みんな優しい。
とにかく、空気が優しい。
湿気がない…というのも大きいと思うけど、あのジメジメ感を全く思い出せないほどに、全てが完璧に満たされていて、それゆえに自分が別に何もしなくても認められていて祝福されているって信じられるみたいな、そんな空気。
ハワイという場所のマジック。
テラスに出ると、下のステージで繰り広げられるフラやライブが、向こうに広がる海と共に見える。
暑くもなく寒くもない。
最低限の服だけでいい。
何もしなくてもいいんだ。
開放感で頭が真っ白だった。
英語がほとんど理解できないってのも、この際最高によかった。
目からも耳からも余計な情報が全く入ってこないので、自分の感覚だけに集中できる。
お腹すいた、とか。眠い、とか。
日本で子育て主婦やってた私、いかに同時に色んなことを考え処理…すぐに行わないにしても…しているのかが、よーくわかった。
しかも、スイッチオフする方法も分からなくなってしまってた。
大半は疲れによる妄想…このまま不眠が続いたら仕事できないな、どうしよう…だったり、
何かが起きる前にこうしなくちゃ!
…夫に今みたいな生活続けてられないよ?どうすんの?!とよく言われてたので、そんなのなってみないとわからないけど、どうしよう、とかいう自問自答…だったり。
何も考えず、自分の内側にだけ集中できる幸せを、満喫しよう!と、ひとまずルームサービスを頼むことにした。
フロントに電話したら、全く何言ってるかわからないうえに保留音みたいなのが鳴り、どーゆー状態なのかよく分からないので一回切ってしまった。
気を取り直して二度目。
ゆっくりしゃべってくれたのでなんとか注文。
すでに暗かったし、泣き腫らした顔では出歩きたくなかったから。
***
「うちの旦那も最初は全然興味なかったけど、一回行ったら ハワイハワイゆうとるよ、今でも(笑)」
来週ハワイ行くんだーって、友達や美容師さんに報告したらこう言われて、じゃあ今の私でも大丈夫かも…ってきたけど、本当に天国。
英語全くダメ。
ハワイの情報誌も、数年前に買った「英語なんてこれだけ聞けてこれだけ言えれば世界はどこでも旅できた」の本も全部忘れてきた。
でも、大丈夫だった。
***
やっと部屋にたどりついた私、疲労と夫とのラインやり取りで涙が止まらなくて、1時間くらい1人で号泣していた。
夫より…
親には文句いわれてもしょうがないでしょ。
俺も含めて言われてもしょーがない事してるよ。
俺も親もトモだけのせいって感じではないけど
旅行に対して賛成してないから君に手放しに喜んで行ってこいとは思えない。
熱の事も黙ってようと思ったけど。黙るのも違うと思った
…
文句言われてもしょうがないことなんか、何もしてないと思うし、多分これ、夫本人は自分でちゃんと考えたのかどうかもあやしい。
けれど、同じようなこと言われ過ぎて疲れた私は、真面目に反論ラインを送った。
夫に送った長文すぎるラインの内容は、自分でも恥ずかしいくらいに
「とにかく私は疲れている!分かれよ!他の人のことなんか知らん!私は疲れに疲れて疲れてんのじゃこのヤロー!」ということ内容だった。
主婦という職業の怖さ。
ここまでしても、ここまで言っても分かってもらえないとは。
とにかく、そんな自分がかわいそうでかわいそうで仕方なくて、ちゃんと休めなかった私に懺悔し、労わることを誓ってとりあえずは眠った。
ダブルベッドを1人で使える贅沢を、存分に味わいながら。
枕なんか4ツとも全部使ってやるわ!
家では家族で雑魚寝。
こどもは寝相悪すぎてどんどんこっちに寄ってくるから邪魔、下手したら顔思いっきり蹴りそうなので気を使うし、夫は数時間おきに殺人的なイビキをかくので、私の不眠は悪化の一途をたどっていた。
3時に眠れたらいい方。
そして7:30には子どもに起こされる。
夜寝られないと、いくら昼寝しても体力が戻らない。色々本読んで試してみたけど、その努力も虚しいほどに熟睡できなかった。
そりゃあ肌も荒れるわ。
と思いながらも、そんな自分に慣れつつあった。
他のお母さんも、みんな多かれ少なかれこんな感じで乗り切ってるんだろう…と考えてみても私は私。しんどいものはしんどい。
ちなみに私は10年来の不眠症。
結婚前はよくなっていたが、結婚・妊娠・出産が立て続けだったので、再び不眠症に。
思えば夜泣きがなくなったのは、つい3ヶ月前のことだし、引っ越して2カ月、保育園に再び入れたのは今月から。
こんなに展開早いんだから、多少落ち着くまで時間がかかっても仕方ないと思う。
この際堂々と人のせいにするけど、私の疲労は、夫のネガティヴと、夫の両親の「母たるもの、本来こうすべき」という私へのお説教が原因だ。
私自身はわりとアクティブだし、人と話すのは好き。
というか、落ち込んでいるのが嫌いなので、とりあえずは色々動いてみるし、他人に対しても一応は考えを聞いて尊重はする。
でもねぇ。そんな私に夫は超反対派。
あと、夫の家族は全員、前提の違う他人とのコミュニケーションができないひとたちだ。
これは批判じゃなく、私の意見。
なので、同じ考えを持つもの同士でしかつるめないし、例えばわたしみたいに、彼らの考えとは違う人間を理解しようという姿勢はないらしい。
3年しか知らないが、3年付き合ってそう思われているのだから仕方ない。
夫のネガティヴもよく言えばリスクヘッジだが、現状維持では何も改善しないと私は思っているし、それじゃ遅すぎるのだ。
それを説得…というか、ひたすら私はこう思うこうしたいと言いまくって今があり、子育てもずいぶん楽にはなったし、夫も頑張って応えてくれたと思う。
しかし。
夫の心配話とか、全く希望のない愚痴ばかりをずっーと聞いて、例えば
ディズニーランド行きたいね〜
って言っただけで怒り出す。
そりゃ、今お金が厳しくてうんぬんわかってるよ。
だけどさー、そんなこと考えてたら働く気にもならない。
そもそも2歳児のママなんか、家にいたら四六時中子どもに振り回されちゃうわけで、楽しいこと考えたりしたりしないとやってらんない。
しかも、働くための準備とか保育園入れるための手続きとか、全部マネジメントするのはわたし。
要するに、わたし次第なんですよ。
そんなわたし自身は、先を楽しみにしながらやってくのが一番効率がいいと、からだで知っている。
だてに十何回も転職してない。
そーゆーわたしのやり方や考え方の全てが、夫には新しすぎたのだと思う。
そして、夫の両親にとって私は、正直すぎたのだと思う。
でも、家庭をまわす…って言うと変な言い方だけど、結局のところそれは主婦の仕事。
夫は会社の言う通りに働くだけでしょ?
主婦はその時間すべてを、自分でマネジメントしている。自分のことだけじゃなく、子どもと夫の都合、保育園や自分の勤務先とも折り合えるよう調整する。
当たり前にやってることだけど、簡単にできると思ったら大間違いだし、その結果はピンキリで、
結果=生活の豊かさ
なのだから、その責任は重い。
マネジメント って本が出てるくらいじゃん。
ドラッカーは読んでないけど「もしドラ」を読んだわたしは、主婦もマネージャーやないか、と思うのだ。
話がそれまくったけど、ついでにいこう。
だからね。
家族を野球などのチームに例えると、
夫は監督なのだと思う。
監督が細かいことぐだぐだ言いすぎるとさ、このチームどこ向かってんの?え?勝ちたいの?それともメンバーのやり方が気に入らなくて八つ当たり的にダメ出し?
つってね、チームメイトは混乱するわけ。
で、わたしは主婦なので、家族というチームのメンバーでもあるしマネージャーでもある。
ほら、マネージャーって常に人の世話してんじゃん?
疲れた人にレモネード、とか、打ち終わったらはいタオル、とか。知らないけど。
まー、具体的に何をするかも、そのマネージャー次第だけど、とにかく。
監督が細かいこといいすぎて、メンバーがゲームを楽しめなくなったチームは負ける。
これは間違いない。
わたしはチームメイトの1人として、疲れてしまったわけ。
監督である夫や、PTAである夫両親から私への批判に。
やっぱりねぇ、男はドン!っとしてなきゃダメですよ。コチャコチャいってちゃダメ。
自分も他人も生かせない。
と、いうことで、わたしは試合間近なのに自主的に休みを取って周りに批判されるマネージャー、と思ってもらえると分かりやすいだろう。
女は感情の生き物だし、それが滞ると腐る。
私は腐りたくないのでこーゆーことをして、その結果、このチームからは脱退するかもしれない。
でもいいんだ。
すぐに引き抜きがくることを、賢いマネージャーは分かっているから。
ということで、妻がリフレッシュするのに気持ちよく送り出せない夫や、半年に一度程度しか孫の面倒見ないのに、古い常識を盾に自由に振舞う嫁を許せないおじいさんおばあさんは。
幸せにはなれないよ。
***
わたしの言うことに反応するということは、
わたしのすることに怒りがわくということは、
本当はわたしがうらやましいからだ、という話を聞いたことがある。
そんな人たちは知らないのだ。
自由を手にする勇気。
リスクを引き受ける勇気。
自分を信じる勇気を、いつも総動員していることに。
だからわたしは、人生の展開が早い。
毒を吐くということは、体にいいことだと思う。
だってこんなに、スッキリ気持ちがいいから。
毒と薬は紙一重。
体内でわたしにとって毒だったものは、出してみれば誰かの薬になるのかもしれない。
あ、わたし、元気になってきたかも


