小学生のころ、
私は作文の上手な子
と言われていた。
なぜなら、
作文の宿題をすべて
母に手伝ってもらっていたからだ。
とくに
夏休みの読書感想文では、
母は私の代わりに
力作を書いてくれた。
自分で本を読んで
下書きまではしていたが、
そのあと母に
ほぼ全文を直された。
私の下書きは
本のあらすじがほとんどで、
「~というところを読んで
すごいなあと思いました。」
という文章を繰り返している
だけのものだった。
母が手を加えると、
まず下書きの原稿用紙が
赤ペン添削で真っ赤になる。
たぶん
9割ぐらい書き換えられていた。
そこには、
ふつうの小学生が使わないような
テクニックで修正が入っていた。
書き出しからいきなり
主人公の言葉を引用して、
インパクトを与えてみたり。
倒置法を使って、
文章にリズムをつけたり。
小学生には理解できないような
心理描写をしてみたり。
綺麗に修正されすぎていて、
これじゃ手伝ってもらったの
バレバレだよ
と思いながら、
私はひたすら赤ペンの文字を
原稿用紙に書き写すだけだった。
パーフェクトな感想文を
提出したおかげで、
コンクールに入賞して
市立図書館で表彰されたこともある。
名誉のある賞に選ばれて
嬉しかった反面、
実力による入賞ではなかったので
気持ちは複雑だった。
私は家で母が見てくれないと、
文章の書けない子になってしまった。
学校の作文の授業では、
鉛筆を持つ手が
いつまでも止まったままだった
文章がうまい子のはずなのに…
授業中に
いきなり指名されて、
その場で自分の作文を
読み上げなければならないときが
一番緊張した。
先生の
期待したほどの文章じゃないわね
という反応を見て、
恥ずかしくてたまらなかった
先生だけでなく友達にも、
母に手伝ってもらっていることが
バレないよう、
いつもビクビクしていた…
そんな子ども時代、
私は自分で考えて
自由にのびのび書く力は
身に付かなかったけれど、
完璧主義な母のおかげで
書くときの基本テクニックは
学べたと思う。
社会に出てからも
報告書を書くときなどは、
学んだことを活かせている。
自分の考えを表現するのは
苦手なままだけど。
こうして
ブログを書いているときも、
昔母から学んだことを
自然と意識している。
子どもの頃に
教え込まれたことは、
なかなか忘れないものだ。
素直に母に感謝することは
めったにないけれど、
いまブログが楽しく書けているのは、
母のおかげかもなぁ…と思う。