「売るのが、怖いんです」
ある勉強会の会場。
その一言に、会場のあちこちでうなずく人がいた。
わかる。すごくわかる。 僕も30年前、まったく同じだったから。
そして今ならわかる。その解決策を。
「売れない営業」だった僕
新卒でダイワハウスに入社したとき、僕は本当に売れなかった。 でも当時は、なぜ売れないのかすら、わかっていなかった。
その理由が腑に落ちたのは、ずっと後になってから。
「売る」ことを、「売りつける」ことだと思っていたから。
30年経って、確信していることがある。
「売るのが苦手」にはタイプがある。 そしてタイプによって、解決策がまるで違う。
まず自分がどれかを知ることが、最初の一歩だ。
タイプ① 「売る」=「売りつける」だと思っている
「申し訳ない」「迷惑じゃないか」という罪悪感がある人
処方箋:「売る」を「問題を解決してあげる」に置き換える
考えてみてほしい。 あなた自身は、自分の悩みを解決してくれる人に、喜んでお金を払ったことがあるはずだ。
それと同じことをしているだけだ。
相手のことを聞かずに売ろうとするのが「売りつける」。 相手の問題を聞いて、それを解決しようとするのが「問題解決」。
まったく別のことだ。
「自分のサービスで、相手のどんな問題を解決できるか」 この問いを持って相手と話すだけで、営業はまったく違うものになる。
タイプ② そもそも「売る技術」がない
「何を話せばいいかわからない」「うまく説明できない」という人
「算数が嫌い」な子どもって、たいてい算数が"できない"から嫌いなんだよね。 売るのも同じ。やり方を知らないまま結果が出なくて、嫌いになっていく。
処方箋:素直に、専門家のところへ行く
売るのが得意じゃないと思っているなら、独学でなんとかしようとしなくていい。 営業のトレーニングを受けるか、売る技術をきちんと体系的に学ぶか。
遠回りに見えて、これが一番の近道だ。
タイプ③ 「こんな金額をもらうのは申し訳ない」と思っている
カウンセラー・コーチ・士業の方に特にいい人に多いパターン
いい人ほど、これに陥りやすい。 自分のサービスに値段をつけることへの「申し訳なさ」。
処方箋:まず安くてもいいから、お金をもらってサービスを届ける
「喜んでもらえるんだ」という実感は、頭で考えてもなかなか得られない。 実際にお金をもらって、相手が喜んでくれる体験を積み重ねるしかない。
最初は安くていい。 ちゃんとやれば、喜んでもらえる。 その実感が積み上がれば、自然と価格を上げていける。
順番はこれだけだ。
タイプ④ 自分の商品に確信が持てない
「本当にこれで役に立てるのか」と不安な人
処方箋:実際に使ってもらって、お客さんの反応を正直に見る
ここはシンプルだ。 実際にサービスを提供して、お客さんがどう感じたかを見ること。
ポジティブな感想が返ってくるなら、あとは自分が信じるだけ。 あまりそうでないなら、商品をきちんと見つめ直す。
「自分の商品はいいのか、どうか」——これは自問していても答えは出ない。 お客さんの反応だけが、正直に教えてくれる。
4つのタイプ、根っこは全部同じだった
ここまで読んで、気づいたことがあるかもしれない。
技術の問題も、罪悪感の問題も、商品への不信も—— 突き詰めると全部、「売りつける」というイメージから来ている。
ここで一つ想像してみてほしい。 何もしなくても向こうから「ぜひ買わせてください」と言われて、相手が喜んで買っていってくれたら——。
そのとき、「売るのが嫌い」と思うだろうか?
思わないはずだ。むしろ、楽しいと感じるはずだ。
ということは、「売ること」そのものが嫌いなんじゃない。 「売りつけること」への罪悪感が嫌なだけだ。
売るとは、相手が抱えている問題を解決してあげること。 この一点に意識が向いたとき、4つの悩みは全部、解決の糸口が見えてくる。
売れる保険営業マンは、例外なく「売り込まない」
僕の周りにいる、本当に売れている保険の営業マンを見ていると、みんな共通していることがある。
いきなり「保険どうですか?」とは絶対に言わない。
まず信頼される人になる。 「何かあったとき、この人に相談しよう」と思われる人になる。 そこから自然に、必要なタイミングでつながっていく。
売り込んでいるように見えない。でも、誰よりも売れている。
それが「問題解決」として売っている人の姿だ。
