うひゃっ(*´∀`*)


これ 誰だかわかる~?




ピンポーン☆

正解!


柴犬ね♪  この子は 黒柴(*^^*)




今日はね
深い深い愛で結ばれた ある柴犬と
飼い主さんのお話




まだ私が動物病院にいたころ

もう3代目の柴犬を連れてくる
常連さんがいた。


ワンちゃんの名前はチビ。
飼い主のお父さんはMさん。


Mさんは小さな工場を経営していて
いつも決してキレイとは言えない出で立ちでやってくる。

チビちゃんも なんだか工場の油臭い。

物静かな Mさんによく似て
チビちゃんも物静か。


ある日、チビちゃんが病気になった。
この時のチビちゃん とある原因不明の
血液の病気になっていた。

実はチビちゃんの先代も同じ。



キズが治らない。
キズが出来ると そこから皮膚が
溶けていってしまう…


そんなチビちゃんが
子宮蓄膿症という病気になってしまった。


一か八か 手術をした。



腹膜(お腹の内側)は何とかくっついた!が
皮膚が 何度縫合しても、糸を掛けた部分が溶けておちる…

仕方なく 縫合を諦め
ある療法に切り替えた。


長い長い 入院生活になった。


何度も 危険な状態を乗り越えた。


動物病院は 自力でごはんが食べられる事が
退院の必須条件だった。



私は チビちゃんがなに一つ文句を言わず
全てを受け入れているのがわかった。

早くお父さんに会いたいことも…


カルテに嘘を書きたかった。

APP + 100%(食欲100%)って。



どうしても 食べてくれないチビちゃんの犬舎に入り、手で口もとにごはんを持っていく。

プイッと 横を向く。

食べたくない  いや 食べられない…

痛いほどわかった。



チビ…
食べないと おうちに帰れないんだよ。
ちょっとでもいいから 食べて。

食べたくないのもわかるよ。
でも 食べてくれないと
お父さんに会わせてあげられないんだ…


独り言のように 呟いていた。


すると チビは


静かに 私の手に口をのばし

小さな小さな ひとくちで
缶詰を食べた



えっ?

私は驚いた。

チビ 食べられるの?
ほら 食べてごらん!


チビは ゆっくりゆっくり
私の手のひらにある 缶詰を食べた


私は とても嬉しかった。


これで帰れる!
Mさんにお迎えの電話が出来る!


しかし チビの食欲は
この 手のひらに乗った スプーン1杯の
缶詰で止まってしまった。


チビは 疲れはてて 眠ってしまった。



私は この時

何てことを してしまったんだ‼と思った。


チビは 確かにうちに帰りたかった。
でも 到底 ごはんを食べられるような
体調ではなかった。


なのに… 力を振り絞って 食べてくれた。



そう  チビは

私を思いやって 食べてくれたのだ‼




それに気づいたとき
チビのため Mさんのため と思っての事で
あったけれど、それがどれほど自分本意な思いであったかを 痛感した。


私は チビの犬舎で 泣いた。


ごめん  ごめんね…チビ  


チビは 黙って 寄り添ってくれていた。


そんなことがあってから
しばらくたって、なんとかチビは退院した



退院したのも束の間…

チビの細胞は チビのからだのあちこちを
蝕み始めた。



そして 致命傷は 鼻(鼻腔)が溶けはじめて
しまったことだった。


Mさんは 自分の車にチビを居場所を作り
車のエアコンを使って ネブライザーを
毎日やってくれた。


日に日に悪化するチビ。


とうとう 目の下まで 患部が広がり
顔の形が変わってきてしまった。


院長、副院長、Mさんとチビちゃんとの
付き合いが長い先生が話をしている。


その間 私はチビと一緒に待った。


チビの呼吸は荒く ただ寝ていることが
どれほど苦しいかが見てとれた。



治る見込みはない…

このまま悪化すれば…


それでもチビは 静かだった。

全てを受け入れている
そんな気持ちが見えてくるようだった。

だから 一緒にいる私も
なぜだか 落ち着いていた。




そして 決断された。



安楽死…



その日は一度家に帰り
数日後に その日を迎えることになった。



苦渋の決断だった。

少しでも 苦しい時間を短くしてやりたい

もう 十分頑張った

チビも女だから 少しでもキレイな顔で
逝かせてやりたい…


この思いが Mさんの背中を押すことに
なった。


Mさんの静かな静かな 優しさだった。


どこまでも優しい
武骨で 人見知りなMさんの
深い深い思いを知った




約束の日

少し時間に遅れて Mさんとチビは
やってきた。



誰もいない 待合室。

お昼休みに 来てもらった。



チビとのお別れも
優しく頭をポンポンと叩くだけだった。


チビを受けとり
Mさんも立ち会うか聞いたが

何とも言えない 複雑な笑顔で
首を横に振った。



おらぁ 無理だ。
田中さん 頼むよ…


田中は私の旧姓だ。



うん。わかった…


私はチビを抱いて 診察室に入った。



診察台の上のチビは 静かだった。


チビとの思い出が
いっぱいいっぱい甦ってきて
涙をこらえられなくなった。



先生ごめん…

先生に謝った。


仕方ないよ。でもMさんの前では
堪えてね。




じゃあ はじめます。



はい…



チビ ありがとうね。

チビ…ごめんね。


チビ… よく頑張ったよ…



チビは 本当に 眠るように逝った。


先生がMさんにお話をしている間に
チビちゃんをシャンプーした。


みんなそれぞれ
チビちゃんとの日々を思い出し
チビちゃんとの別れに 涙していた。



静かな 静かな 昼下がり


キレイになったチビちゃんは
大好きなお父さんに抱かれて 帰っていった



その時 Mさんの横に
いつものような ピコピコ歩く
チビの姿が 見えたような気がした。



観音様のように
いつも穏やかで 全てを見通していたような
チビとの別れ。



今 思い出しても 涙が止まらない。


けれど
彼女が私の人生のマイルストーン的存在であったことは間違いない



もう こいつで最後にするよ…


そう 静かに呟いた その言葉が
どこまでも 悲しく どこまでも優しかった



決して派手ではないし
昔ながらの飼い方をしていたMさん。


でもそこには
誰にも真似できないような
深い深い繋がりがありました。
静かで強い絆。本当の信頼。


多くを語らずとも
形だけの関係ではなく
種を超えた 強い絆と深い愛を

この二人から 学んだのでした。