読了。
「行旅死亡人」は「こうりょしぼうにん」と読む。
引き取り人不明の死者を表す法律用語である。
本書は、1人の考行旅死亡人について新聞記者が追った記録である。
ある行旅死亡人の物語 (著)武田 惇志、伊藤 亜衣
2020年4月、兵庫県尼崎市のアパートで女性が孤独死した。
女性の部屋の金庫に現金3400万円が残されていた。
女性は、お風呂の付いていないアパートに40年ほど暮らしていた。
3400万円もあるのにどうして引っ越さなかったのだろうか?
遺産があるので「相続財産管理人」の弁護士がおり、記者はその弁護士からその時点で判明している事柄、遺品について聞くことができた。
女性が残した写真などの情報も入手することができた。まとめると…
・住民票がない(年金手帳があり「田中千津子」とあった)
・身元を特定できる書類がなかった。レシートや領収書もほとんどなかった。
・労災事故で右手指を失くしている、にも関わらず自ら労災を断っている。
・『沖宗』という印鑑があった。
・アパートの賃貸借契約書には「田中竜次(仮名)」の名前で契約しているが大家によると何十年も前から一人暮らしだったよう。
・星形マークのロケット・ペンダントがあり、中に2行の謎の数字が書かれた紙が入っていた。
・ビニール袋に入った韓国の1000ウォン札があった。
・部屋の中で亡くなっているのに部屋の鍵がなかった。
・大型の犬のぬいぐるみを持っていた。
手がかりがないため、弁護士は探偵を雇ってまで色々調べたようだが、女性の身元を確定することはできなかったそうだ。
上述の手がかりをもとに、記者2人が身元調査を始める。
年金手帳の名前「田中千津子」は実在したのか、本当の氏名は?
いやあ、新聞記者って凄いなあと思った。
諦めず、個人単位での伝手を探していく。
すると開かないと思っていた扉も開くものである。
分かったこと、分からなかったことがある。
色んな事が判明していくのが興味深く、のめり込むように読んだ。
昨日、美術館に出かけた時の往復のバス、帰宅後のひと時、そして、本日、午前中に自動車運転免許の更新手続きに行ったのだがその往復の公共交通機関くらいで読み終えてしまった。
現代日本に「誰か分からない人、何をやっていたか分からない人」が存在して、親しく付き合っていた人も分からないということがあるのだろうか。
何だか心に残る。
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少し前に味わった、名古屋「美濃忠」の栗羊羹。
今年は栗蒸し羊羹ばかりだったので、普通の羊羹が新鮮に感じられた。
栗もたっぷり入っている。
羊羹のサラッとした口当たり、これも美味しい。


