読了。
2021年のNHK「日曜美術館」の第73回正倉院展を取り上げた放送のとき、当時、正倉院事務所所長でいらした西川明彦氏が出演され、説明がとても分かりやすかった。
その後も様々なメディアで西川氏の解説を聞いたり、読んだりする機会があり、本書を読んでみようと思った。
正倉院のしごと (著)西川明彦
「はじめに」の部分で驚いた。(太字部分は本書からの引用である)
正倉院は「シルクロードの終着駅」と言われており、かつて「正倉院展」にも行ったことがあるが、舶来の品々が多かったという印象があった。
しかし、「正倉院宝物のうち舶来品は五パーセントにも満たず、実は九割以上が国産品なのである」とのことである。
読み進めていくと…。
大正2年(1913)に建物全体を解体する大規模な修理が行われ、それから約100年後である平成23~26年(2011~14)に屋根の葺替修理が行われた。
「この工事の際、使用に耐えうる瓦を選別した結果、大正時代に補った瓦の大半が不用となったが、江戸・鎌倉・平安の各時代に加えて、天平の甍の一部がいまだに現役で使用できるとして再び葺かれたことには驚かされた」
へ。びっくり。天平時代の技術力の高さに驚く。
蒔絵に用いる極細の筆は、琵琶湖畔の芦原に生息する鼠の毛が最適とされているらしい。自然環境の変化で、その鼠の毛の入手が難しくなっているそうだ。
猫、モンゴルの野鼠などで代替できないか模索されたが、やはり琵琶湖の鼠毛が良いらしい。
これは他のメディアで見た記憶がある。
道具の入手が難しければ、修復も難しくなってくるだろう。
それにしても、鼠の毛とは。
「正倉院展では、一度展示した宝物は、その後十年間は選ばないという不文律がある」
ということは、生きているうちに何回見られるチャンスがあるか…。
正倉院展の折の宝物の移動についても初めて知った。
「正倉院展の場合、基本的には奈良国立博物館の学芸員が宝物の輸送にあたっての養生・梱包を行う」
「トラックへの積み込みは博物館の学芸員と衛士、それに美術専門の運送業者が行い、そのトラックは揺れを軽減した美術品専用車である」
「直線距離で一キロメートルにも満たない奈良国立博物館へ、奈良県警のパトカーをトラックの前後に配し、最徐行でエスコートするという厳重な警備がされる」
このパトカーに先導されるトラックの様子が写真入りで紹介されていた。
秋の風物詩である正倉院展、開催には大変な努力と手間がかけられているのだ。
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これは、新春に東京国立博物館で展示されていた。
重要文化財「正倉院 壬申検査関係写真」
(横山松三郎撮影 明治5年(1872) 鶏卵紙、台紙付き社印)
重要文化財「正倉院御物 琴・琵琶 壬申検査関係写真」
(横山松三郎撮影 明治5年(1872) 鶏卵紙、台紙付き社印」
本書に、明治時代の「壬申検査の際には、拓本や彩色を施した細密画が作成されるとともに、当時の最新技術である写真撮影を取り入れている」とあったが、これか!!



