読了。

1月末頃からバタバタしていたが、ようやく一段落ついた。

美容院にも行きたいし、美術館にも行きたいが、まずは図書館へ。

数冊仕入れて、むさぼるように読んだのが本書である。

 

定年オヤジ改造計画  (著)垣谷美雨

 

主人公は、定年退職した男性・庄司常雄。

昨年11月に読んだ内舘牧子氏の「終わった人」とついつい比べてしまう。

 

主人公が地方出身の秀才で、高偏差値の大学を経て大手企業に就職して、定年退職、その後は妻の慰労も兼ねて旅行三昧に・・・と考えていたが、しかし、妻からは・・・という設定まではほぼほぼ同じだが、妻の設定が違う。

 

「終わった人」の妻は子育てが一段落した後に手に職をつけ、生き生きと働いている。

一方、本書はずっと専業主婦で、「夫源病」を患い心療内科に通う。

 

・・・主人公・常雄の様子を見ると、いやあ、「夫源病」、分かるかも。(太字は本書からの引用)

 

常雄は、いわゆる「母性本能」や「三歳児神話」などということを信じており、娘に「お父さんて、神話の世界に生きてるよね」と言われる。

 

息子の妻が働くことになり、常雄が孫2人を保育園に迎えに行き、親が帰宅するまで1時間ほど息子宅で面倒をみることになった。

常雄の妻・十志子は「夫源病」で体調が悪く引き受けられないため、常雄が1時間くらいならと引き受けた。

 

しかし、ある日、急遽、昼前から孫の世話をすることになってしまい、(「夫源病」で体調の悪い)十志子も助っ人に来てくれることになり、孫2人の対応をしてくれた。常雄は見ているだけであった。それを十志子に咎められ、

「女ってものは生まれつき気遣いが細やかにできているし、母性本能ってもんがあるんだから、子供の扱いだって得意だろ。だけど俺は男だから細かく指示してくれなきゃわからないよ」という始末。

え。「生まれつき気遣いが細やかな人」って全人口の何パーセントくらいだろうとふと思った。

 

しかも、妻が途中で帰った後、孫のおむつが替えられず、「男には無理なんだ」とおむつを替えに来いと妻に電話する。とほほ。

 

常雄の自分の母親に対する述懐が下の通りである。

 

「幼い日、喧嘩して泣きながら帰ってきたときに抱きしめてくれた母の温もりが、ふっと蘇る。母の温かい懐が自分の原点だと今さらながら思う。母は常に子供のことを思い、子供の成長を生き甲斐としていた。子供のために自分を犠牲にすることが母の喜びだったのだろう。」

 

法事で故郷に帰り、きょうだい4人水入らずで酒を酌み交わした。

ちなみに常雄は4人きょうだいの末っ子である。

 

主人公がきょうだいに上記のようなことを言うと・・・・。

次姉が「それ、誰かと間違えてるんでねのが?自分を犠牲にするどころか、あの人は自分のことしか考えてながったよ」、長姉は「常雄、そりゃ幻想だべさ」という始末。

 

母親は「子供が大嫌い」だったとか、「近所じゃ怖いオバサンとして有名だった」とか、「親父の遺品を根こそぎ捨てた」とか亡くなった母親の実体(?)が明らかになる。

 

常雄が信じる「三歳神話」についても、昔は近所のお年寄りが小さな子供の面倒を見ていたとか、小学校になると「子供組」というのに入って神社の境内で遊んでいたとか・・・、「母ちゃんはいつも畑に出てたがら、常雄はじっちゃんやばっちゃんにおんぶしてもらっでることも多かったよ」とか、「どこの家でも母親はそれほど育児にかかわってなかったぞ」などと言う。

 

この後、常雄は孫2人の世話を通して、どんどん意識が変わっていく。

それに伴い、妻の十志子も自分の友人とイタリア旅行に行くほどまで「回復」していく。

 

妻の旅行中に、ゴミを出そうと収集場所に行くと、ご近所の高齢の婦人とばったり会い、立ち話をする。

ご婦人は、80歳近い夫に靴下を穿かせ、入浴時に着替えを出してあげているようだ。

 

会話の後、常雄は、世代の違いを感じつつも、自分の父親でもそれくらいは自分でしていたと「自分は十志子に上司みたいだと言われたが、この女性はまるで奴隷みたいだ」と思う。

 

主人公・常雄は、少しずつ意識改革していき、息子夫婦にもその影響が現れる。

 

いろいろ驚きながら、読んでしまった。

本書は平成30年に発行されており、主人公の妻・十志子は、恐らく現在の私と同い年くらいである。

つまり、私よりほんの数歳上がモデルになっている。

もしかすると、私の同級生でもこのような考えの人はたくさんいるのだろうか・・・、私の周囲にいないだけで・・・。

 

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本日のお茶タイム。お土産にいただいた桜餅。

 

 

お茶碗は、神楽坂・佑楽の「伊藤千穂 陶展 -楽しや春の器えらび-」で求めた「アラベスクダリア茶碗」。

伊藤千穂氏の「アラベスクダリア」シリーズのお茶碗はずっと狙っていたもの。やっと巡り会えた!!

バタバタしていても、こういう楽しみは無理矢理時間を作って参上するのだ。

 

なんだかとってもお抹茶がおいしく、デパ地下で仕入れておいたお干菓子を出して、もう一杯。

 

 

三重県伊賀市の「紅梅屋」さんのお干菓子、「さまざま桜」。