読了。
新型コロナウィルスが最初に発生した中国武漢市のロックダウン期間中の記録である。
武漢日記 (著)方方 (訳)飯塚容、渡辺新一
本書を読んでいて、知っていたこと、知らなかったこと、貼った「付箋」は多くなった。
もともと著者が将来の記録のために、ロックダウン下の日常について書き始めたものらしいので、対策への著者の意見、著者を攻撃する人たちへの反論などがクローズアップされがちだが、飼い犬の様子や、食事、窓から見える風景、日用品の買い物事情などの内容も多い。
ロックダウン下の生活についてメモしたいと思った。(太字部分は本書からの引用)
著者のお兄さん宅は感染の危険が高いとされるエリアに住んでいたようで、団地外に出るのが難しく、日用品の購入などについても大変だったよう。
兄嫁にあたる方は買い物について全て記録していて、その文章が時折紹介されていた。
「ウィチャット」というインスタントメッセンジャーアプリを使って日用品を共同購入し、その受け取りのために団地の所定の場所まで出向く時に、
「マスクを二重にして、人と会話せず、家に戻ったら服を着替えて手を洗うことにしよう」とある。
マスクをして人と会話しないというのは、私でも実行しているが、なるほど、服も着替えていたのか・・・と予防ぶりに感心する。
又、
「悩ましいのは団体購入の場合、人が多くて順番待ちの時間が長くなることだ。(中略)午後から呼び出しが始まり、夕食から一時間後に確かめたら、まだ六〇番で止まっていた。頻繁にスマホを見なければならない」とある。
スマホで順番が確認できるのは便利だが、待つのも大変そうだ。
順番が止まっていたのは、共同購入のスーパーの店主が食事に行ったからだということだった。
この兄嫁さんの番号は114番。結局、受け取りは午後10時56分だったそう。
その後も60人以上が待っていたので、兄嫁さんはスーパーの店主も疲れただろうと心配している様子が書かれていた。
又、別の日には薬の購入について紹介されていた。
著者の兄が口内炎になり、口内炎治療の噴霧薬を購入しようと、「ウィチャット」で薬局に連絡し、漢方薬を紹介され、「ウィチャット」で支払いを済ませて、薬局の方が団地の門まで来てくれ、
「塀の欄干の隙間から薬を手渡してくれた」とある。
中国では電子決済がかなり普及しているらしいが、著者の兄夫婦は70代ではなかろうか。その年代の方々も便利に使っているとは。
私は、先日、初めて「PAYPAY」というアプリをダウンロードして、「おっかなびっくり」で使った。
こういうものにも慣れないとなあ・・・としみじみ。
「欄干の隙間」から薬を手渡すとは・・・人びとの逞しさとか、人情とか、そういうものも感じられる。「中国らしい」というか、懐かしいというか。
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著者自らの考え方についても言及されていた。
ある文学関係の会議で、著者と同じく武漢の作家である姜弘氏が「私たちの頭脳は自分の力で育つのだ」と語り、著者はとても強い印象を持ったそうだ。
「私たちの頭脳は教師の教えによって育つのではない。新聞記事によって育つわけでも、会議の書類によって育つわけでもない。自分の力によって育つのだ。頭脳は独立思考して初めて価値あるものとなる」
とある。
それで、著者は「この世界に対する私自身の見方をかえることはできないし、社会と人間に対する私の考察を揺り動かすこともあり得ない」そうだ。
うむ。力強い。そして、重い。
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ちょうど一週間間くらいに撮影したもの。
こちらは、近所の緑道で。
こちらは、近所の神社。
秋は、オレンジ色のイメージがある。

