be動詞の落とし穴 | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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以前、フェイスブックで、Sallyさん(神林サリー氏)の生徒さんからおもしろいご質問があったのを拝見した。



それは「ある人のとったノートを見て、とてもよく整理されていたので、『几帳面だね』と言いたかったのだが、英語はどう表現したらいいのか」というもの。和英辞典を引いたらwell organizedと出ていたので、You are well organized!でいいのだろうかと考えたそうだ。



一見すると単なる和文英訳に関する質問とも思えるが、この質問には日英語に違いにおいて重要な要素が含まれている。それが、日本語の「几帳面だね」とYou are well-organized.のあいだに小さくない開きを生み出している。



さて、その前に、確認しておくべきことがある。それはbe動詞についてだ。



なお、以下、話が複雑にならないように、主語が人間、とくにYouの場合に限定して考えることにする。



まず、ご存じのように、be動詞には大きく2つの意味がある。



1つはbe動詞の前後が「イコール」であると示す場合。このとき、日本語に訳出できる意味はないが、初期学習では便宜的に「です」や「だ」と対応すると教えることが多い。I am Japanese.なら「I イコール Japanese」だ。



もう1つは「存在する」という意味である。I am in a restaurant.なら「私はレストランにいる」で、be動詞は「いる」という意味を表し、イコールではない。





老婆心ながら、これを「I イコール in a restaurant」と考えていた人は、これだと副詞と形容詞がごっちゃになってこのあと支障が出るので、考えを変えたほうがいいだろう。



なお、be動詞を「です・だ・である」の意味と教えることは、本当は適切ではない。あくまで「イコール」という機能をしているに留まる。ごく初期は仕方がないとしても、どこかの段階で修正したほうがいいだろう。



さて、「主語+be動詞+形容詞」と言う形の場合、be動詞は必ずイコールの意味になる。つまり、「主語=形容詞」で、たとえば、You are immature.と言うと「あなた=未熟な」と言っている。



この「主語=形容詞」をbe動詞でつないだ文も、あえて2つに分けると、「(本質的な)性質」と「(限られた期間の)状態」の2つに分けられる。



たとえば、上のYou are immature.は「(これまでも、これから先も)あなたは(本質的に)子供っぽい(=You are an immature person.)」という意味と、「(今は・当面)あなたは未熟だ」の2つである。



もちろん、必ずこのどちらかに決まるわけでなく、この中間あたりでうろうろするということになる。どちら寄りかはその形容詞の意味に拠ることになる。



ついでに、「状態」の場合、その状態の一時性が強ければ「動作」に近くなる場合もある。たとえば、You are kind.は「あなたは親切だ(という性質がある)」の意味だが、一時性が強いときは「あなたは親切にしてくれている」の意味になる。たとえば、ちょっと古風なI am grateful that you were so kind to our son.は「息子に親切にしてくださって感謝しております」の意味になり、be kindは「親切にする」という動作に重心がある。





このbe kindは、たとえばHe was being kind to me (when we were with him).(<一緒にいたとき>彼は私に親切にしてくれた)などと進行形にすることも可能だ。



さて、話を元に戻そう・・・と思ったが、もう1つだけ整理しておきたいことがある。それはorganizedという形容詞である。というのも、けっこう意味がとりにくいところがあるからだ。



その名詞形のorganizationなら、わかりやすい。「組織」や「組織体」のことである。その元になっているorganizeはもともとは「有機体(植物や動物の一部)にする」という意味。とくに組織や臓器にすることを指すが、そこから物事を整理して作る意味へと発展した。



organizeは今ではarrangeと同じように「用意する」の意味でよく用いられるが、もとは「有機体にする」ということで、おもに科学や哲学で使われてきた。



動詞organizeの形容詞形がorganizedであるが、もちろん「組織体にするような」が元の意味である。これがさらに動詞に合わせて発展して、人に対しては「動作や行動などがよく考えられた」という意味が生じた。



先生からBe more organized!と注意されたら「頭の中をもうちょっと整理しろ」という意味だろう。また、誰かがFinally, I got organized!と叫んだら「やっと整理が終わった」か「やっと準備が終わった」と言っているのだろうと推測できる。



ちなみに、これと同じような経過をたどったのが形容詞composedかもしれない。



動詞のcomposeはもともと「小さな要素をつないで形にする」ということで、「作曲する、作文する」といった意味でよく使われる。その形容詞形のcomposedは元は「(よく)作られた」の意味だったが、今ではもっぱら人に対しては「冷静な、冷淡な」の意味で使われ、「作る」の意味のほうはかなり薄まっている。





さてさて、前置きが長くなったが、話を元に戻す。



You are well organized.と言うと、「あなた=整理や考えをまとめるのがうまい」ということになる。この場合、性質なら「あなたは整理上手な人だ」、状態なら「あなたは整理をうまくやっている」といった感じになるだろう。



ここで問題となるのは、「あなたは几帳面だ」という日本語である。これは、几帳面にまとめたノートを根拠にしている。つまり「あなたのノートは几帳面にまとまっている(からあなたは几帳面なのだろう)」ということで、ノートを指しているのか、書いた人を指しているのかけっこう曖昧である。



それに対して英語でYou are well organized.と言ってしまうと、その人の性質として「整理上手な人だ」と決めつけていることになってしまう。だから、日本語の「几帳面だね」と比べるとちょっと言い過ぎた印象を与えかねない。



上のbe kindの説明から動作の意味にならないのかと考えた方もいるだろうが、もちろんありうる。ただし、通常は性質に使う形容詞が動作になるのはどちらかという例外的で、それなりの前提か文脈が必要となる。



言い過ぎな印象を与えないで「あなたは几帳面だ」を伝える方法としては、Your note is well organized.とノートを主語にしてしまうといいだろう。これなら、見た印象を述べているのだから、言い過ぎな感じはない。



実は、もう1つ方法がある。私はこちらのほうがオススメなのだが、「几帳面」という言葉にこだわらず、その場の事実をそのまま述べることである。



たとえば、Your note is easy to read.(あなたのノートは読みやすい)なら、あくまで自分の印象を述べているに過ぎないから、誰も反論できない動かしようのない事実だ。



日本人が英語を使うとき、上に述べたような「言い過ぎ」がよくあり、「なんでそこまでわかるのか」と思われていることも少なくないそうだ。一時的な印象に過ぎないことをYou are XXX.と相手の本質のように言うのは英語では好ましくないことがあるわけだ。



もちろん、そこまでのことが課題になるのは上級者だろうから、「できるだけそのまま述べる」「できるだけ事実に近い客観的表現をする」というのは、すでに中上級者にいる方が、課題として知っておくといいだろう。




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