質問は「日本国民はthe Japaneseなのに、アメリカ国民だとthe Americansとsがついて複数形になるのはなぜか?」というものです。
まず基本知識を確認します。
「the+形容詞」で「形容詞+people」の意味になります。たとえば、the richはrich peopleの意味です。同じ流れでthe JapaneseはJapanese peopleの意味になります。
そうすると、たしかに「アメリカ人の」はAmericanなので「アメリカ国民」はthe Americanになってよさそうなものです。しかし、実際はthe Americansと言います。
そのことを論じる前に1つだけ補足しておきます。
the Japaneseと言うとJapanese peopleとするより単一性が強くなります。Japanese peopleは日本人1人1人に対する意識が多少なりともありますが、the Japaneseと言うと、話し手の頭の中にある1つの「日本人」のイメージです。
たとえば、「日本人って自己主張しないよなあ」という場合はThe Japanese are lacking in self-assertiveness.としたほうが感じが出ます。
もちろん、peopleには数えられる名詞として「国民」の意味があるので、the Japanese peopleとしても同じ意味です。同様に、「アメリカ国民」はthe American peopleとしてもOKです。
さて、質問についてですが、たしかに「イギリス国民」だとthe Britishですし、「ドイツ国民」はthe Germanyですし、「アルゼンチン人」ならthe Argentineanです。ざっと見回しても、sがつくものは見あたりません。
the Americansとなることは、文法的には「例外」として見るしかないようです。
ただ、それだと疑問点が解消しませんから、考えとして1つだけ提示します。
人は自分のことは個性的に考えます。こちらから見ると顔がそっくりの兄弟が、お互いは「違い」のほうを強く意識して、「君たちは似ている」と言うと、「似てないよ!」と否定されたりします。
私たちが日本人だとすると、私たちは日本人とお隣の韓国人、日本人と中国人の個性の差を強く意識するものです。
ここで、1つクイズです。
みなさんはバルト三国を言えますか?
言えた人はすばらしい。では、それぞれの首都をご存じでしょうか。さらにはそれぞれの国民性の違いをご存じでしょうか。
答えはエストニア(タリン)、ラトビア(リガ)、リトアニア(ヴィリニュス)です。かっこの中が首都です。
おそらくバルト三国の国民性の違いなど、これまで考えたこともなかった方が大半ではないでしょうか。
このように、当人たちは違いを意識し、他人は一緒くたに見るというのが人間の自然な心の働きです。
今私たちが考えているのは英語です。
イギリス人はthe Britishという言葉を持ちながら、the English(イングランド人)、the Welsh(ウエールズ人)、the Scottish(スコットランド人)など、実は細かく分けています。それぞれ「差異」を強く意識しているからです。
アメリカ人もおそらく同じです。アメリカ人たちは「AmericaにはいろんなAmericanがいる」と考えていて、だからこそthe Americansとsをつけることで、自分の意識にある「個性の違い」を表現しているのだと考えられます。
ただ、これが正解かどうかは確かめようがありません。あくまで1つの説明です。

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