本書は5部構成です。
まず、「英語をやるうえでいちばん大切なのは、コミュニケーション能力だ」と断言することから「戦闘開始」です。「話せなければ意味がない」という姿勢はすがすがしさすら感じます。
では、日本人学習者の多くになぜコミュニケーション能力がないのでしょうか。
Sallyさんの答えは明快です。私たちを教えてくれる英語教師が英語が話せないから。
英語を話せない教師に習っても英語が話せるようになるわけがない。なぜなら、話せるようになる道のりが示せないから。だからこそ英語が話せない英語教師に習うべきではないし、同様に英語を最初から話せるネイティブでもダメである。バイリンガルに習うべきだと強調します。
次に、多くの英語学習者が英語を話せない10の原因を明らかにし、その対策を与えます。それは、
1.目標や目的があいまい
2.ネイティブ信仰がある
3.プライドが高い
4.伸びが感じられない
5.暗記を避けてしまう
6.そもそも何をしたらいいかわからない
7.「英語=勉強」だと思いこんでいる
8.話すことに苦手意識が強すぎる
9.忙しい
10.すぐ飽きてしまう
などの、合計「10の壁」です。
たしかに心当たりのあるものが並んでいます。このあたり、Sallyさんの英会話講師としての豊富な経験と英語教育の学識の高さが伺えます。面目躍如でしょう。
次に、実際に3か月間で英語が話せるようにあった3人の生徒さんの事例を紹介します。3人とも個性的な面々ですが、その個性をうまく利用して、英語でコミュニケーションできるまで導いた道筋がわかり、Sallyさんの英会話講師としての有能さが随所に見て取れます。
そのあとに、Sallyさんが編み出した学習方法が紹介されます。
Sallyさんによると、英語学習で最も大切なのは発音です。独学でも発音を上達させられることを具体的に示し、例文暗唱、英文音読などの勉強法を解説します。
学習法はさらに、英文日記などの英語ライティング、多読、速読と続き、最後は総仕上げとしてスピーチについてかなりくわしく扱っています。スピーチ例はSallyさんが作ったものが4つあり、それぞれPodcastでダウンロードできます(→Podcastリンク)。すべて、月一セッションの「3分間英語スピーキング塾」で扱われたものです(→Sallyさんブログの該当記事へ)。
巻末には暗唱用の例文が100収録されており、すべて音声がダウンロードできます。70がつぶやき、30が対話です。それぞれ、英語らしい表現ばかりで、覚えごたえがあります。
Sallyさんによると、英文暗唱でたいへんなのは最初の100個で、そのあとはだんだん楽になってくるとか。短い英文が多いので、とっかかりとしてはよく考えられていると思います。
なお、これら以外に16の読み応えのあるコラムが収録されています。すべてSallyさんの経験に基づいたもので、英会話学習のための情報として価値が高いように感じました。
本書のすべての情報を考えると、なかなかお得な本であると思います。
本書を通じて感じたのは、「英語を話す」という行為がたんなる「お勉強」ではダメだということです。英語を話すのにふさわしい「メンタリティ」というものがあり、それは日本人の気質とかなり違っています。
本書ではSallyさんの一貫したものの考え方というものがつかみとれます。Sallyさんの持つメンタリティを本書で体得できれば、英語を話すのはけっこう簡単なんじゃないでしょうか。
英会話力をつけたい人にはぜひ一度読んでいただきたい本です。
●書籍情報
神林サリー著
『Sally先生のバイリンガル英会話学習法』
四六判 並製 198頁/定価1,365円(本体1,300円+税)
(音声データは無料ダウンロード可→リンク)
・Amazon.jpへリンクしています。
『Sally先生の バイリンガル英会話学習法』

