(映画評)『ソーシャル・ネットワーク』(The Social Network) | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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世界一普及しているSNS、フェイスブック(FACEBOOK)の創業者マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が、ハーバード大の学生のときにその前身ザ・フェイスブックを起ち上げて、ビジネスとして軌道に乗せるところまでを描いている。



いま一番ホットな映画なので混んでいるのはもちろんだが、観客にはなぜか40代以上の夫婦らしき人が多かった。実際にSNSをフルに利用している層ではなく、フェイスブックがどんなものか知りたいと思って来た人が多いのかもしれない。



本作品はすでにゴールデン・グローブ賞を作品賞・監督賞ほか最多4部門で受賞し、アカデミー賞では8部門でノミネートされている。日本公開では2週連続で観客動員ナンバー1をとっており、日本でも大ヒットしている。



また、公開のタイミングとしてこれ以上は望めない。



アフリカのチュニジアで反政府暴動が起こり、運動はエジプトに飛び火し、現在はエジプトに世界中の視線が注がれている。



アフリカでは民衆が知識を共有する手段がほとんどなかったが、今回の暴動で、その役割を果たしたのが普及したインターネットであり、その核となったのがフェイスブックである(ただし、SNSとしての機能というより、「ファンページ」という自由参加の機能が利用されている。使われ方としてはツイッターや2ちゃんねるに近い)。



このままアフリカ・中東諸国が民主化に進んでいけば、フェイスブックは歴史の流れを変えたツールとして後世に語り継がれる存在となるだろう。



さて、肝心の映画であるが、予想に反して大学生活を描いた「青春映画」である。ハリウッド式でテンポ良く展開し、約2時間の上映時間もあっというまだった。



これまでの大学生の青春映画と違い、そこにいるのは、ハーバード大学という世界のトップ大学でうごめいている嫌味なエリート意識を持つ学生。その一方で、そのエリートたちを冷笑し、なおかつ周りを辟易させるほどの強烈で純粋なエリート意識を持つ主人公を印象的に描いている。



ほかの学生たちが青春を謳歌すべく女性集めに奔走するのに対して、つきあっていたボストン大の女子学生に愛想をつかされたあと、マークはひたすらフェイスブックを完成し、発展させることに集中する。



エキセントリックな性格は持続するものの、その能力はすべてフェイスブックのみに注ぎこまれる。この映画でマークはひらすらまじめなプログラマーだ。



「アメリカン・グラフティ」的なセックスやドラッグの世界を周りの人間たちが立ち回るが、主人公マークはそのエキセントリックさで大人たちを翻弄しながらも、ただただ虚心でフェイスブックにのめり込む。この点はちょっと特異といっていいかもしれない。



フェイスブックが進化する中、マークに対して2つの反乱が起こる。



1つは主人公マークを仲閒に引き入れハーバード大学用SNSを作ろうとしていた富豪のエリート兄弟、もう1つは、マークを金銭的にサポートする元共同創業者によるものである。



ハーバード大学用SNSを作ろうと言い出したウィンクルボス兄弟をマークはことごとく無視して、ほぼ独力でフェイスブックを完成させる。



それを知ったウィンクルボス兄弟は烈火のごとく怒り、結局、マークを訴える。



共同経営者のエドゥアルド・サベリン(Eduardo Saverin)はフェイスブック用の広告をとろうと奔走するが、広告よりフェイスブックそのものの完成度を高め広めることにしか関心がないマークと対立する。



やがて、サベリンはその地位を、音楽交換ソフト、ナップスターを作った伝説的プログラマーで起業家のショーン・パーカー(Sean Parker)にとって代わられる。その恨みから、サベリンは銀行口座を凍結してマークを困惑させ、ついにショーンによってフェイスブック経営から事実上追放される。



そして、マークは一緒にフェイスブックを作り、唯一無二の親友あったサベリンからも訴えられてしまうのである。



物語の後半はこの2つの訴訟との戦いを中心に展開するが、ことの顛末はぜひ映画館で楽しんでいただきたい。現在を描いた新しいタイプの青春映画の秀作として楽しめるはずである。



マーク・ザッカーバーグ本人はこの映画を見て「事実は4割くらい」と述べたそうだ。



ただ、6割の「脚色」のおかげで、マークの純粋な性格が周りを傷つけ、それがいらぬ摩擦を引き起こしていく部分がうまく描かれている。



マークにはビジネスマンとして身につけておくべきバランス感覚がまるでない。だが、それゆえにフェイスブックは短期間で世界中に広まる力を得て、今や国際情勢すら変えかねないほどの影響力を持ちえる。



もう1つ、おもしろく感じたのがハーバード大学の特殊性である。



「SNSでハーバード大学を征することが、SNSで世界を征する第一歩である」という認識を誰しも持っていた。だからこそ、そのアイデアを盗まれたと持ったウィンクルボス兄弟はマークに牙をむいたのであり、マークはハーバード大学を征した時点でこれが大きな商売になることを確信したのだろう。



この映画を見ると、ハーバード大学を征した時点で、ことが半分以上なったかのような印象すら持ってしまう。いや、実際、本作の作り手もそんな認識を持っているのだろう。



マーク・ザッカーバーグ本人は1984年5月生まれのまだ20代半ば。すでに世界的な大富豪となり、名声をなし、多くの若者の憧れとなっている。



これからの彼の物語が、もう一度映画が作れるほど波乱に富んだものになることはおそらく間違いないだろう。そのときにフェイスブックがどうなっているかは、全く予想がつかない。




【作品情報】

監督 デヴィッド・フィンチャー

脚本 アーロン・ソーキン

出演 ジェシー・アイゼンバーグ(マーク・ザッカーバーグ役)
    アンドリュー・ガーフィールド(エドゥアルド・サベリン役)
    ジャスティン・ティンバーレイク(ショーン・パーカー役)

音楽 トレント・レズナー/アッティカス・ロス

上映時間 120分


※以下の本が、映画化の元になったようです(→The Accidental Billionaires: The Founding of Facebook: A Tale of Sex, Money, Genius and Betrayal)。


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私は読んでいませんが、けっこうえぐい本のようです。なお、ザッカーバーグ氏のことはこのブログでもいちど取り上げているので、よかったらご一読ください(→過去ログ)。




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