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先日、長い間、ロサンゼルス・オレンジカウンティ地区で日本人子女の教育に携わっていた方とお話しする機会がありました。
その方はとても聞き上手で、ご自身が経験も実績もあるのに自分語りをせず、他の人の話をよく聞いてくれます。私とふたりきりで話したことは数回しかないのですが、様々な場面でこの方の「傾聴ぶり」に感心していました。
長い間、非常に多くの在外子女(海外で暮らす子供達)の教育に関わっていたので多くの知見を共有してくださったのですが、私が常日頃、考えていたことと一致することが多くお話しながら、共感の嵐でした。
「二言語環境で育つ子供たちの言語能力と学力」に関して「誰が何をどのように評価するべきか」という話題から、行き着くところは「バイリンガルとはどんな状態を指すのか」という深〜い話になりました。
私たちふたりの共通認識では、小学校くらいまでは親が家庭で日本語を使っているだけでも日本語力を保持できるけれど、日本の小学生と同レベルの日本語力を家庭内だけで発達させていくのは至難の業で、中学くらいからはほぼ不可能であるということです。ただし「日本語補習校」で、日本人が受けている統一テストのようなものをやらせると、日本の小学生の全国平均くらいの成績を取れる人はかなり多いということです。それは現地校での英語による学習も寄与しているのですが、このようないわゆる「学力テスト」で言語力を測ってしまうと「ウチの子は日本語もよくできる」と安心してしまう危険性があります。そして「バイリンガル力」を測る評価法はないため、常に「母語話者用のテスト」か「外国語学習者用のテスト」でバイリンガルの能力を測ろうとすると、どちらを使ってもうまく評価できないという問題があります。
日本語と英語のバイリンガルで、一番成功例が多いのが「往還型」と呼ばれる日本と英語圏の両方で数年ずつ行ったり来たりして、どちらの言語による教育も受けながら育った人たちです。ただこれも大学生くらいまでで、その後 30代 40代になっても両言語を「教養ある大人」レベルで使いこなせる人は、日々の仕事で両言語を使用している人に限られてきます。別に「仕事」でなくても両言語をバランスよく使っている人はいると思いますが、家庭言語だけだと言語力って一言語だけでも衰えてくるんですよね。
よく自虐的に「私は一言語しか話せないのに、二言語を話せるあなたより(自分が話せる一言語が)下手です」という人に会いますが、確かに語彙力がないとか、話し方に教養が感じられない話者は、いい歳した大人にもいるとは思います。
またよく言われている両親の母語が異なる家庭では、ひとりの親が日本語で、もうひとりの親が英語で子供に接していると自然とバイリンガルになるという説は、私たちは「ないない」と真っ向から否定して、意見が合いました。たまたまそういうご家庭のお子さんが、二言語でも教育を受けられる環境(平日の現地校と週末の補習校など)で育ち、相当の努力を重ねれば、二言語を習得して保持していくことは可能ですが、家庭で2つの言語を使用しているだけでは、無理があるというのが私たちの持論です。
アメリカ(西海岸)で育つ日本人家庭には、両親とも日本人、両親ともバイリンガルという人たちがけっこう多いのですが、他の地域に比べると教育機会も多岐にわたっているので、バイリンガルは育ちやすいという結論にも達しました。でもこの「育ちやすい」というのは、他の地域と比べたり、日本でのバイリンガル子育てと比べてどうこうというのではなく、あくまで「ここは日本人が日本語と英語を習うにはいい環境ですね〜」というだけのことです。またアメリカ(西海岸)の特に南カリフォルニアには日本語と英語ができることによってビジネスチャンスが増えることもあるので、自ずとレベルが高い二言語話者が集まってくるという相乗効果もあります。
そんなこんなのお話をしてあっという間に2時間が過ぎたのですが、楽しいひとときでした。
