先日から、今書いている論文に使用できそうな研究論文をご紹介しています。
今日は韓国語とスペイン語の継承語話者を比較研究した論文のまとめを書きます。
この論文は韓国からの移民とスペイン語圏(主にメキシコ)からの移民の子供(2世)がどのように親の母語(=継承語)の教育を受けたか、大学でどのような継承語教育を受けたか(あるいは受けたいか)をアンケート調査した結果をまとめています。(Hur, Otero, and Lee 2021)
アメリカは移民の国なので、様々な言語背景、人種背景を持った人がいます。
人種的には肌の色や出身国(地域)で分けて表現されていますが、言語的には同じ人種でもまったく違う言語が継承語となるため、同じ地域からの移民の研究が当てはまらないことがよくあります。
例えば、この論文の結果を見て、韓国からの移民の継承語話者が日本語継承語話者と似た結果になるだろうと予測することはかなり無理があります。
移民の親が子供に自分の母語を教えるかどうかは、移住してきた目的、どのような継承語教育の機会があるかによって変わってくると思います。例えば日本語のように政府が認可している「補習校」というものがあって、週に1回でも日本語で日本の小中学生と同じ教科書で教科を習うような制度がある場合、平日は現地校と呼ばれるアメリカの学校で英語で教育を受け、週末に日本語で教育を受けることが可能です。
他の言語でも週末にその言語を教えてくれるところはありますが、ほとんどが教会などコミュニティベースのクラスです。スペイン語や中国語は小学校で教えてくれるところも多く、この論文では韓国継承語話者の60%はコミュニティベースのクラスで韓国語を勉強しているのに対し、スペイン語継承語話者の65%は小学校でスペイン語を勉強しています。
この数字だけ見ると、アメリカ生まれ育ちの日本語母語話者の親を持つ子供は韓国語話者のように学校外で日本語を学ぶ人が大多数なので韓国継承語話者に学習経験が似ていると考えられがちですが、アメリカの補習校のガチな学習を見ていると他言語の「週末のコミュニティースクール」とは全然違うということをもっと強調しなくてはいけないと思います。
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