一昨日から、今書いている論文に使用できそうな研究論文をご紹介しています。
今日は家族内の母語(優勢言語)が異なる場合のバイリンガル発達についてです。
 
最初に言いたいのは私自身、国際結婚をディスるとか日本人と結婚してもまったく日本語がわからない、学ぼうとしない人を否定する意図はありません。世界的に見て夫婦間の母語が異なり、お互いの母語をまったく学習しない人は数多くいます。
 
今から110年前にグラモントというフランスの言語学者が1P1L(1 person 1 language)という方法で、家庭でバイリンガル育児に成功した例を発表し、それから(例えば)「英語母語話者の親が子供に英語で話しかけ、日本語母語話者の親が日本語で話しかけて子育てすれば、自然と英語と日本語のバイリンガルになる」という考えが一般化しました。
 
最近でも多くのバイリンガル研究者(Barron-Hauwaert 2004; Brisk 2010など)がこの1P1Lというアプローチを研究し続けています。
 
多くの研究者が100年かけて警鐘しつづけているし、グラモント本人も明記しているのですが、これは母語が異なる夫婦が、ただ自分の母語だけを使って子育てをしていればバイリンガルになるということではありません。これは「両方の親がお互いの母語がネイティブ並みのバイリンガルで、どちらの言語でも子育てができるけれど、あえて一人の親がXX語、もう一人の親が〇〇語で意識的に話しかけるとバイリンガル(二言語)同時習得をする子供の混乱を避けることができる」ことを示唆しているだけです。
 
他の言語の研究にもありますが、母語が異なる夫婦がお互いの母語を理解しないまま、子育てをすると夫婦間や子供とのコミュニケーションに問題が生じるケースがよくあります。これは言語だけでなく文化の違いや夫婦の母語と居住国でのその言語のステータスによっても様々な問題が報告されています。
 
日本でCLD児(文化的、言語的に多様な背景を持つ子供)の研究と言えば、大阪大学の真嶋潤子先生が有名です。真嶋先生他の研究論文では、日本にスペイン語圏やポルトガル語圏から移住した家族の子供は、親が自分の母語(スペイン語やポルトガル語)で子育てをしても十分にその言語を習得する前に、日本語による教育を受け始め、親とコミュニケーションが取れなくなる例などが書かれています。また父親が日本人で、母親は日本語が母語でないがある程度理解できるレベルで日本で子育てをすると、学校からの案内や子供が必要とする知識を母親が日本語で教えてあげることができず、子供が父親にしか相談ができなくなると母親の存在を否定するようになるという例もありました。
 
私は「母語で子育てをすることの重要性」をこれからも強調していきたいと考えています。そのために研究を続けているのですが、いろいろな論文や記事を読むと間違った解釈もけっこうあることに気づきました。自分の母語で自信を持って子育てをしながらバイリンガル育児をするのは相当な努力が必要となります。パートナーの母語が自分の母語と違うとか、自分の母語が居住国で使用されていないような場合、パートナーの母語、居住国の主要言語を習得する努力を怠ってしまうとバイリンガル育児はかなり厳しくなるということも知ってほしいと思います。
 

 

 

 

ドキドキ YouTubeチャンネルの登録もよろしくお願いしますドキドキ

 

 

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしてくださるとうれしいです。

にほんブログ村 子育てブログ バイリンガル育児へ
にほんブログ村