私はアメリカの大学で、日本語を勉強している学生に「アニメの吹き替えプロジェクト」をやらせています。
3〜5分のアニメやドラマのビデオクリップの映像だけを使って、自分たちで台本を書いて、せりふを録音します。
なるべく原作から離れた内容にしたほうがクリエイティビティ(独創性)があって、高得点になります。
今までにもかなりの傑作がありました。
アニメやドラマは自分たちで探してきてもいいし、私が用意したものの中から選んでもいいようにしています。今年は遠隔授業になり、学生たちは一緒に集まって、台本を考えたり、吹き替えの録音をしたりできないので、このプロジェクト自体、やるべきかどうか迷いましたが、せっかくだから「音の調整や音質などは気にしなくていいから」と言ってやらせてみました。
今年も面白い作品が集まり、学生たちも楽しんでいたようなのでよかったです。それにしても録音技術や編集技術は、5−6年前とは雲泥の差です。以前にはビデオと音声を合わせることができず、教室で同時に流しているグループもありましたが、今では効果音やBGMなど入れてみんなきちんとした作品を仕上げていました。
せっかく時間をかけて作るのに、間違いがあってはかわいそうなので、台本は事前に全部直してあげました。それでもまだ日本語を勉強しはじめて1年しかたっていないので、多少の間違いはありましたが、みんな驚くほど上手です。AIにやらせているんじゃないの〜?と疑うものもありました。
このビデオ作品を見ていて初めて知ったのが、ドラえもんに出てくるのび太くんのお父さんの名前。
ドラえもんは、教科書にも話が出てくるので、人気作品の1つです。今回も26組中、8組がドラえもんのビデオクリップを使っていました。
あるエピソードのシーンで、のび太のお母さんが、お父さんに向かって
のび助、おかえりなさい
と言っているセリフを書いた学生がいました。
確かにアメリカ人なら、自分のご主人を名前で呼ぶのは普通だし、このセリフはまちがっていないのですが、日本人で、子供がいる家庭の奥さんが、ご主人が帰ってきて、こう言うことはまずないと思います。
直そうかどうしようか迷いましたが、一応、注釈をつけて「お父さん、おかえりなさい」の方がいいとアドバイスしました。
日本人は、家族の一番年少者の目線で、家族同士を呼ぶので、長男は「お兄ちゃん」と家族から呼ばれ、ご主人を呼ぶのも「お父さん」とか「パパ」になります。以前に義母が、夫(つまり息子)のことを「パパ」と呼んでいるのを聞いて、不思議な感じになりましたが、これも私たちがアメリカ生活が長くなってしまったからで、日本ではごく普通だと思います。
アメリカ人の学生がよく自分のことを「〜さん」とさん付けで呼んでしまう間違いがありますが、我が子もかなり大きくなるまで、自分を「〜ちゃん」と呼んでいました。これは特に英語からの転用ではないのですが、英語話者に見られるよくある面白い現象です。
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