入社して最初に配属されたのは海芝浦の工場だった。

 

 

ここの同期は5人いたが、彼らに会う前に自分だけ府中に実習に行くことになった。でもなぜかこちらの工場の新人教育名簿に自分の名前が載ったままだったそうだ。教育の時に名前があるのに誰も見たことがないことから「謎のキャスバル君」と呼ばれていたとのこと(笑)

 

そんな同期たちとは1年間の実習から戻ってきたときに初めて対面した。男子3名に女子2名。みんな作業着姿でヘルメットが似合う風貌になっていた。特に女子は入社時の写真はあんなに可愛かったのに…。まあ自分も1年後にはそんな感じに染まってしまったから人のことは言えないが😂

 

そして同期たちが自分の歓迎会を行ってくれることになった。川崎の居酒屋さんだったと思うが女の子もいる飲み会は久しぶり。お酒のせいもあり、ついつい気が緩んで「ヘルメットかぶってするような仕事は嫌だ」と口が滑ってしまった。それを聞いた女の子の1人が言った。

 

「えー?何で?全然男らしくないわねっ」

 

希望してこの職場に来た人には理解されないとは思っていたが、女の子から面と向かってそう言われるとショックだった。まるでセイラさんに「軟弱者!」とビンタされたカイ・シデンのような気持ちになった😭

 

(そう言い放った子のフルネームは今でも覚えている。好きだったわけでもないのにw)

 

 

 

毎朝の工場行きの鶴見線は憂鬱で、いつも顔を上げる気力もなく海芝浦までうつむいたままだった。

 

通勤時間帯は黄色い電車

 

昼間は人が少ないので、一両電車と呼んでいた一両だけの茶色の電車が走っていた

 

そんなある朝のこと、いつものようにうつむいたまま電車に座っていると、

「大丈夫?」

と女の子から声をかけられた。顔を上げるとセイラさんじゃない方の同期だった。彼女はお茶の水女子大学出身でゆうゆ(岩井由紀子)似の女の子。心配されるほど具合悪そうに見えたらしい。

 

心が弱っている時にそんなふうに優しくされたら恋が始まってもおかしくないシチュエーション。でも彼女にはどちらかというと恋の相談をしたかった。