- 勇者たちへの伝言 いつの日か来た道/角川春樹事務所
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先週のカフェの報告もまだなのですが、もうこれは読んだらすぐに書きたくなりました。
少し前にラジオにこの本の作者が出られていて、話をされていたのです。
私は、話の途中から聞いたので、本の題名もわからず、でも馴染みのある地名の話をされていて、すごく興味を持ちました。
ネットで、「増山実 西宮北口 北朝鮮」とわかる範囲でのワードで検索するとたぶんこの本だろうなあと見当がついたので、図書館にリクエストしました。
手元に届いてもなかなか読めなかったのですが、読み始めるとぐいぐい引き込まれて、1日で読んでしまいました。電車の中で本を読んだのは久しぶりでした。
(以前は、よく読んでいたのですが、老眼鏡のお世話になるようになってからはご無沙汰でした)
懐かしい西宮球場が出てきます。
主人公が一度だけ父親に連れて行ってもらったのですが、時を経て50歳の私が当時の8歳の私になってこの時のことを再び体験します。
職場が西宮だった私は、仕事が終わってから甲子園や西宮球場に行ってました。
石嶺が好きだったなあ…と忘れてたことを思い出しました。
いやはやそんなことより、知らなかった父親の過去を知って、そこからまた話が広がり、当時の父親の彼女の話になります。
彼女は、北朝鮮帰国事業で、地上の楽園を夢見て、北朝鮮に行ってしまいます。
そこでの話は、本当に壮絶で心が痛みます。
私が電車の中で読んでいて、一番困ったのは、思わず泣きそうになったことです。
それも普通の人ならなんともない所で…
父親に自分は未来から来たと話すのに今年のレコード大賞は…と話す場面です。
「千賀かほるの真夜中のギターも新人賞、獲ったで」
「チガカオル?誰や。聴いたことない」
…略…
「真夜中のギター」は発売されてから三十年近く経過していたはずだったが、リクエストはいつも多かった。
今でも憶えているのは、沖永良部島から神戸に出稼ぎに来た深夜タクシーの運転手からのリクエストだった。この曲を聴くたびに、島から都会へ出て、働きはじめた夜のことを思い出す。
慣れない深夜タクシー業務、なかなか客は見つからない。
雨が降る中、孤独に押しつぶされそうになり、たまらない気持になってカーラジオをつけた。そのとき流れてきたのが彼女の歌だった。
彼女の歌声には不思議ななつかしさがあった。
曲が終わったあと、ラジオのDJが言ったこの曲を歌う千賀かほるは、沖永良部島の出身で、デビューするまでは神戸に住んでいたのだ、と。
彼女もまた、いつか今の自分と同じ気持ちでこの街の夜を過ごしたのかもしれない。そう思うと、フロントガラスの向こうが涙で見えなくなり、しばらく運転ができなかった。
そんな内容のハガキだった。…略…
私の両親は、神戸生まれですが、母方の祖父母と父方の祖母は、沖永良部島出身です。
そして、千賀かほるさんが、テレビに出る度に母が、「あの人のお母さんは、おばあちゃんの親友だったんだよ」と言っていたのです。
私の遺伝子が反応したのか、私の意志とは関係なく涙があふれてきます。山手線の中で…
家に帰っても話の続きが気になって、カフェの準備をしなくてはいけないのにそっちのけで読みふけり、揚句に感動のあまり、ブログをアップしてしまうという結果になりました。
「西宮北口」という車内アナウンスが「いつの日か来た道」と聞こえて途中下車するところから始まるストーリー、この感動をたくさんの人に味わってもらいたいです。