「一晩一人で過ごすのは不安なのよ」
と義母が言った。
はじめて不安を口にし、頼ってきた。
義父が入院しているあいだ、持病のある義母は夜間独居である。
日中は在宅で仕事をしているため、人の出入りがあるが、夜間が不安らしい。
60代半ば。
決してもう若くはないが、高齢者と呼ばせるにはまだプライドが許さない。
老いと病気と自尊心の波が押し寄せては引いていく。
ちょうどそんな年齢かなと想像する。
老いは、嫌悪するものと扱われがちだが、誰しも生きて老いる。
若さに囚われて今を見失うよりかは、時間の経過に身を任せる方がいい。
なにより時間はやさしい。
老いは失敗でも敗北でもない、時の流れだ。
わたし達はこれから共に老いていく。
お互いの老いを、少しずつ見つめていくことになるのだろう。