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ある休日のこと。

 

 

 

6歳の娘が、嬉しそうに

おやつを食べていた。

 

 

 

 

この日のおやつはどうやら

彼女の大好きな「グミ」。

 

 

 

 

自らお皿を取り出し、

そこへ丁寧にグミを並べ、

悦びの表情を浮かべている。

 

 

 

 

その表情たるや、

まるで絵画を眺める

芸術家のような面持ちである。

 

 

 


 

 

そして、1、2…

とグミの点呼をとり始めた。

 

 

 

 

 

後ろから様子を伺うと、

グミは全部で5つ。

 

 

 

 

カウントは続き、…4、5と、

いよいよ娘の声が、終着駅へとたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

すると、「はあ」と

娘はため息をひとつ。

 

 

 


 

 

 

 

僕からすればあと「5つも」

あるのだから良いじゃないか!と思うものの、

娘からしたら死活問題。

 

 

 

 

 

なぜなら、子どもにとってのおやつとは、

大人の世界の通貨のようなもの。

 

 

 

 

 

通帳の残高を見て

「はあ、これっぽっちかあ」

と嘆く気持ちと一緒と思うと、

急に、共感の念が沸いてくる。

 

 

 


 

 

 

こうして僕は、

彼女の肩をポンポンと叩き、

ねぎらいを送ったのだ。

 

 

 

 

 

 

すると彼女がこんなことを言った。

 

 

 

 

 

 

「最後の5つを

楽しむしかないか」

 

 

 

 

 

 

この言葉を聞いて、

やはり娘は天才かもしれないと思った。

 

 

 

 

 

 

なぜなら日本語としては、

「最後の5つ」なんて表現は、

意味としておかしいのだから!

 

 

 


 

そう、正しくは、いやそれを言うなら

「最後のひとつ」なのだ。

 

 

 

 

 

 

しかし、彼女の口から出たのは、

「最後の5つ」。

 

 

 

 

 

この表現を聞いて、これは使える!

と、僕はひらめいた。

 

 

 

 

 

 

何事も頭に「最後の」とつけるだけで、

目の前のそれを

愛おしく思えるのではないかと。

 

 

 

 

 

 

例えば、僕が毎日のように読み漁る「本」。

 

 

 

 


 

 

さて、1冊の本のページ数と言えば、

200ページから400ページで

構成されることがほとんど。

 

 

 

 

まあ、それほどに多いページ数が

あるのだから、読者にとって

1ページの重みは小さい。

 

 

 

 

それは本の冒頭部とあらば、

なおさらのこと。

 

 

 

 

つまり、本を開いてすぐは、

まだ本の世界に没頭できないでいるわけだ。

 

 

 


 

そんな中、先日手に取ったのは、

224ページからなる1冊の本。

 

 

 

 

いつも通り、まずはパラパラと

読み始めそうになる自分を

ぐっとこらえ、1ページ目で、

こんなことを自分の心に囁いてみた。

 

 

 

 

「これは、最後の

224ページ目だ」

 

 

 

 

 

するとどうだろう。

 

 

 

 

なんだか、本の1ページ目が、

かけがえのないものに見え、

ちゃんと向き合わねば!と、

気持ちが昂ってくるのである。

 

 

 

 

人生の幸福度を決めるものは何か。

 

 

 

 

それはきっと、どれだけ人生に

大事なもの、大切なものがあるかだと思う。

 

 

 

 

大事なもの、

大切なものがあるほど、

人生に「愛の数」が

増えるからだ。

 

 

 


 

それなら自分の力で増やせばいいのである。

 

 

 

 

 

全ての頭に「最後の」と、

儚さをプラスさせることで。

 

 

 

 

 

人生は長く、若ければ若いほど、

「1日の価値」は低いかもしれない。

 

 

 

 

 

そんなことから「今日」を

何気なく過ごしてしまいがちに

なることもあるだろう。

 

 

 

 

 

しかし、間違いなく言えるのは、

今日は二度とやってこない。

 

 

 

 

 

そう、今日は人生において、

「最後の今日」なのだ。

 



 

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