今日、
あなたに
お話をさせていただくのは
前回、前々回の続きになるのですが、
わたしが
童話に関心をもったきっかけです。
それは
獄中での
ソクラテスのある行為からでした。
こんなお話なのですが、
興味を向けていただけたら
お読みいただけたら
嬉しいです。
わたしがソクラテスに心惹かれたのは
死を少しも恐れなかったことです。
いつもと寸分違わぬ機嫌で
毒杯を仰ぎ、静かに
穏やかに黄泉の国へ旅立った姿に
驚愕し震え
涙がとめどなく溢れました。
だって
そうじゃありませんか?
やっぱり死は怖いです。
12歳でケンブリッジ大学に入学し、
23歳で国会議員になり、
52歳で司法長官、
そして最高地位である大法官になった
フランシス・ベーコンに、
死は我々の友である
死を受け入れる用意のできていない者は
何かを心得ているとはいえない
という名言がありますが、
死んだら
体は普通、焼かれて骨だけが残ります。
存在が消えてなくなることに
不安を感じます。
何世紀にもわたって世に名を残す人は
ほとんどいません。
メモリーを、近しい人に残こすだけ。
ソクラテスは
死に
微塵の恐れも
ありませんでした。
哲学仲間が
泣いて嘆くのを
死の間際にありながら
いさめ、さとしたほどです。
その様子をお知りになりたい方は
プラトン『パイドン』を
お読みください。
短いので、すぐにお読みになれます。
ソクラテスは、
罪なき罪によって
死刑判決を受け
執行までの1ヵ月ほどを
牢獄で過ごすのですが、
その間
アポロンへの讃歌を作り、
イソップ(アイソポス)物語を
詩に作り直していました。
あなたは
イソップ物語をご存じですね。
などなど。
ソクラテスはなぜ、
イソップのアレゴリー(寓話)を
詩に作り直していたのでしょう?
それは
作家ではないので、
手近にあってよく知っている物語を
選んでのことだったのですが、
ソクラテスは
生涯で
何度も
同じ夢を見たのでした。
そして
その夢の意味を
確かめようとしたのです。
夢は
文芸(ムーシケー)を作り、
それを生業とせよ
というものでした。
それまでソクラテスは
哲学こそ
最高の文芸と思っていました。
けれども最期が近づき
もしかしたら
通俗的な意味での
文芸を
夢は
命じていたのかもしれない、
思ったのでした。
詩人であろうとするなら、
真実の言論(ロゴス)ではなく、
創作物語を
作らなければならないのだから。
わたしの心の隅に
ずっとこのことがありました。
哲学というと
なんだか
ムズい感じがしませんか?
でも
難しい部分を
全部剥ぎ取った
核心は、
子供のころに
お父さん、お母さん
おじいさん、おばあさん
お兄さん、お姉さん
先生から教わった
道徳です。
大人になると
いろんなものに染まり、
本来の姿が見えにくく
なってしまっていることが
たくさんあります。
だから
子供の純粋な目が
怖くなることさえあります。
人は気高くもあり
愚かな存在であるのですね。
無垢な存在でいられるように
そんなことを思う
よく晴れた晩夏の
日曜の午後です。
最後までお目通し賜りまして
ありがとうございました![]()
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