先日、仕事から帰宅すると
玄関横の日陰に顔見知りが座ってた
挨拶もそこそこに渡される杏
「杏の旬は短いからな、早うお食べや」
短く告げてすぐに帰ってしまった
絶対に今日渡したい伝えときたい
そんな意思を感じた
杏は少し毛深くてシャリっと薄甘くて酸っぱかった
酸味に強い夫は喜んだが皮むきを面倒くさがった
オリジナル偏食ホルダーの息子は
小鳥のように小さく小さく啄んで
もう義理は果たしたとばかりに去る
短い旬を捉えきれずに傷みが出てしまい
これまた使い切れずにいた氷砂糖と煮ることにした
甘くて酸っぱくて柔らかい
決意の顔で啄んだあと逃げる息子
あの後ろ姿を眺める時の気持ちに似てる

