本を出すと、読者の意見が気になるもの。
自分の書名でググったところ、とあるブログを見つけてしまったのである。

なんと、本の中身をスキャンし、そのファイルをブログ上で無料公開しているのだ!

これは、ゆゆしき事態である。
書店でお買い上げ下さった読者の方々にも失礼だし、出版社の利益を失うことにもつながる。


今は、本が売れない時代だ。

ハルキムラカミやミユキミヤベ、ケイゴヒガシノクラスの大人気作家ならいざ知らず、まだ海とも山ともわからぬ新人ライターの私の本は、そう簡単には売れてくれはしない。



叫びたとえば、一日に1000冊売れていた人気の本があったとする。そして、その本が、ネット上に違法アップロードされたとしよう。

→800人のコアなファンは、著作権違反サイトなど目もくれずに本を新刊で買うだろう。

→180人のそこそこのファンも、電子よりは紙媒体で読みたいし…と、本を新刊で買うだろう。

→誠に残念ながら、20人ほどのたいしてファンでない人々は、無料で読めてラッキーとばかりに、違法ダウンロードで済ませてしまうだろう。


このシミュレーションは人気作家の本の場合だ。


ドクロでは、確固たる実績もなく、まだ熱心なファンも持たない、私のような駆け出しの無名作家だったら、どうか。

たぶん全く売れない日もあるだろうが、無名新人の本ゆえ、一日2冊売れると仮定してみよう。

そのうち一人は、違法アップロードサイトを見つけても、紙の本を買って下さるかもしれない。
だが、タダで読めるなら、と一人がダウンロードで済ませてしまえば、売上は半分に激減してしまう。

2人ともが違法ダウンロードするとすれば、売上はゼロになってしまう。

駆け出し作家にとって、違法ダウンロードは死活問題なのである。



文学賞もとっておらず、箔のない新人を支えるものは、読者からの評価と本の売上だ。
売上が低ければ、次の本が出せなくなる→仕事がなくなる→失業、というルートをたどることになる。


わずかな売上をも違法ダウンロードで奪われるとしたら、それは汗と涙を流しながら必死で作家が産み、編集者が助産師のようにとりあげた本という『みどりご』を、赤の他人にねじり殺されることに他ならない。

本という我が子を殺された作家は、見知らぬ他人の悪意によって、悲哀の沼に沈められるのだ。




昨晩、該当ブログのサービス宛てに削除依頼をメールした。
違法アップロードのてんまつは、追ってこのブログに記していきたい。