
今井正監督 モノクロ
昔々、小学生の頃 母と観に行きました。
確か、学校の推薦映画だったと思います。
あまりに昔のことで
さすがにほとんど 覚えていませんでしたが
今回観なおして、ほんとに良かった。
こういう映画を埋もれさせて置くのは、実に勿体ない。
出来ることなら、今の子供たちにも観せたい映画です。
すみません、かなり、ほとんど、全部書いてます。

キク (高橋恵美子) イサム (奥の山ジョージ)

しげ婆さん (北林谷栄)
お話。
キクは小学六年生。 体は人一倍大きい。
村一番のお転婆で ガキ大将の少年だってかなわない。
弟のイサムは四年生。 これも相当なワンパクだ。
しげ婆さんの娘で キクとイサムの母親は
ふたりを産んだあと、早くに亡くなったので
しげ婆さんは孫の二人を 乳呑児の時から育ててきた。
毎日のように 姉弟喧嘩や
近所の悪ガキとの 喧嘩が絶えないふたりは
もう、しげ婆さんの手に 負えなくなっているが
しかし高齢で 腰の悪いしげ婆さんを
手伝うふたりは 立派な働き手でもある。
清二郎さん (清村耕次)と 奥さん (朝比奈愛子)
今日も、しげ婆さんとキクは 畑の野菜を売りに町に出た。
肌の色が黒く、髪の縮れているキクは
いつも町人からじろじろと 無遠慮に見られる。

「ありゃあ、日本語喋ってるよ」
しかし、キクはへっちゃらだ。
へっちゃらなフリをする。
悔しいとき、哀しいとき、
キクは おどけて見せてやる。
この日は
帰りにしげ婆さんの 腰の治療に診療所に寄ったが
待合室でも キクを好奇の目で見る人々の視線に
耐えられなくなった しげ婆さんは
キクに小遣いをやって、先に帰す。
キクはその十円で 行商の雑貨屋さんから
綺麗な櫛を買うと 自分の髪に挿して帰った。

雑貨屋さん (三井弘次)
村へ帰れば いつもの明るいキクだ。
歌って踊って、タップを踏んで 村の人たちを喜ばす。
さて 診療所の院長は しげ婆さんに
子供たちは、アメリカの血が流れているのだから
母国に養子に出すべきだと話した。
ある日、カメラを下げた 見知らぬおじさんが村へ現れ
遊んでいた イサムの写真を撮った。
キクは逃げ回って 撮らせなかったが
後でしげ婆さんに 訳を尋ねる。
しげ婆さんは しぶしぶ重い口を開いた。
それはアメリカで 姉弟の貰い手を探すためだと言う。
好奇の目が絶えない 日本の貧しい家で暮らすより
仲間もいる アメリカの裕福な家で暮らすべきだと言う。
キクは アメリカなんか嫌だと言ったが
イサムは 行ってもいいと言った。
結局、イサムはアメリカの農園主に
引きとられることになった。
出発の日、おじさんに連れられて 汽車に乗りこんだイサムは
出発間際になって 急にさみしくなり泣き叫んで
タラップから飛び降りようとした。
でももう、どうしようもない。
汽車は走り出した。
学校の先生 (織田政雄)
イサム! イサム!
みんなは 走り去る汽車を追った。
キクとしげ婆さんだけの 暮らしが始まった。
ある時、子守りを頼まれたキクは
悪ガキと喧嘩をはじめ
赤ん坊をオート三輪の荷台に置き忘れ
オート三輪は知らずに 発車してしまい大騒ぎになった。
幸いにも赤ん坊は すぐに見つかったが
キクはしげ婆さんに 村人たちの前で殴られた。
「おめえは尼寺サ行って、尼になれ!」
翌朝、キクの姿が見えず しげ婆さんが探すと
納屋の前に 櫛が落ちていた。
納屋に入ると キクがぼんやり立っている。
梁から吊るされた縄が 千切れてぶら下がっていた。
自殺を図ったが キクの体が重くて縄が切れたのだ。

「キクの、ばかたれ!」
この時、キクは初潮を迎えた。
しげ婆さんは 赤のご飯をキクの弁当につめた。
「おめえをどこにもやんねえ。
だからおめえも、一人になっても生きて行けるよう
一人前の百姓になれ」
ふたりは 畑に向かった。
途中、子供たちが 何かからかって来たが
「もう、おらは年頃だからな、かまってやらねえぜ」
キクは威張って 歩いて行った。
北林谷栄さんはこのとき、48歳だったそうですが
前歯を抜いて この役に挑んだそうで
ブルーリボン、毎日映画コンクール他で
主演女優賞を取られました。
そしてなんと言っても この姉弟役の子供たち。
キャスティングには ご苦労されたでしょう。
特に、キクの高橋恵美子さんは素晴らしい。
どこから見つけて来たの? と感心しました。
後に ジャズ、ポップス、演歌まで
幅広く活躍する シンガーになられた高橋恵美子さん。
他、こんなにも大勢の方々が出演されていました。
カメラの男(養子調査員):滝沢修
院長さん:宮口精二
座長さん:三島雅夫
お巡りさん:東野英治郎
新聞社の人A(記者):三国連太郎
新聞社の人B(カメラマン):高原駿雄
おかつ:岸輝子
呼び込みの男:多々良純
松田先生:荒木道子
巫女さん:賀原夏子
尼さん:長岡輝子
兎吉さん:中村是好
組合の人A:殿山泰司
組合の人B:井上昭文(ノンクレジット)
おかつの亭主:松本克平(ノンクレジット)
祭り笛の男A:田中邦衛(ノンクレジット)
村の男A:梅津栄(ノンクレジット)
1959年キネマ旬報・第一位。
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