親御さんの了承を得るという最初の壁をひとまず乗り越えた。
あとはもう突き進むのみだ。
同じ頃、俺の両親にも☆を紹介した。
初めて☆を実家に連れて行ったときは、
それはそれで、また別の緊張感があった。
☆が両親をどう思うか、両親が☆をどう思うか。
両親と電話で話す限り、
早く連れて来なよ、という言葉をかけてくれて、
楽しみにしている感じが伝わってきていたので、
絶対に反対されることはないことを確信していたけど、
それでも物事に絶対はないだけにやはり緊張した。
同じように俺の両親も緊張していたようだ。
それを裏付ける出来事として、
こんなことがあった。
とりあえず初めての対面ということで、
地元巡りをすることになった。
「巡り」といっても、田舎で観光名所があるわけでもないから、
とりわけ連れていくところもそれほど多くなく、
あえて考えられるのは、海くらいのもんだった。
それでも山育ちの☆は、海がそばにあるということだけで、
感動してくれて、お昼は海鮮丼なども食べ、盛り上がった。
そんな地元巡りも、ぼちぼちネタがなくなってきた頃、
親父が突然「美術館行くか!」と慣れない場所への訪問を提案した。
聞くところによると、ちょうど今、
何かの(忘れたけど・・笑)イベントをやってるらしい。
俺が生まれ育ち、地元で過ごした18年間で、
一度も行ったことがない場所ということが、
親父の提案のレア度を物語っている。
そして、4人で謎の美術館に行った。
内容はほとんど覚えていないが、
それでも、決しておもしろいとは言えない内容にも
☆はそんな態度を見せることなく、
楽しそうに時を過ごしてくれていた。
そして、
夕方過ぎ、あたりも暗くなった頃、
美術館を後にしようと、出口を出た時、
外は、どしゃぶりの大雨だった。
入る時は曇りだったため、傘がない。
駐車場までは徒歩3、4分だけど、
その距離とこの雨では、ずぶ濡れになる。
ひとまず屋根がある道が出口から続いていたので、
歩いていけるところまで行ってみた。
すると、T字路にぶつかった。
T字の下から歩いてきた俺たちからみると、
左の方に行くとその道はどうやら、駐車場に続く道らしい。
しかし、不思議な作りなのだが、
右の方には、一見池のような、
50m四方ほどの四角い空間に綺麗な石が敷き詰められ
その石の表面に、水が流れているという、
美術館ならではのオブジェのようなものがあった。
要は駐車場からくると、直進はオブジェがあって×、
右は歩行者専用だから×で、U-ターンできない作りと
なっていた。
雨は止む気配を見せるどころか、
より一層強くなってきた。
こりゃダッシュだな。。
そう思っていた時、
親父が言った。
「車ここまで持ってくるからここで待っとけ。」
そういって、雨の中、車へ向かってダッシュした。
俺が行くよ!!と言いかけたが、
まだ両親と初対面で緊張が解けない☆を一人にするのも
躊躇われた。
しばらくして、駐車場方面から車がやってきた。
どうやってU-ターンするんだろう。
と心配したが、周りに車もいないし、
俺たちを乗せてくれた後、
バックで戻るんだろうと思っていた。
すると、、、
・・・・親父とオブジェがコラボレーションした。
オブジェは、綺麗な石に水が流れているので、
たしかにぱっと見、
ちょっと狭めの駐車場に見えなくもない。
ましてや、雨が降っていると
その駐車場化はより一層の磨きを増す。
あそこにオブジェがある、と認識していた
俺、☆、母の三人は唖然とした。
それ以上に、U-ターン空間だと思っていたところが
オブジェだったことにその時気付いた父はもっと
唖然としただろうが。。。苦笑
その後が大変だった。
オブジェには水が流れているわけだから、
当然どこかに水を湧き上がらせている装置がある。
その装置がオブジェの真ん中に、
直径4m、深さ1m程の円形のくぼみとなってあったわけなんだが、
そこに車の左後輪がはまってしまった。
車、身動きとれず。
周り騒然。。
おもしろ半分でみにくる野次馬が集まりだす。
美術館の職員は、あんぐりと口を開けて、どうしていいか
分からない状態。
ここで動けるのは俺しかいなかった。
とりあえず、オブジェに飛び込んだ。
円の淵に足をひっかけ、後ろのバンパーに肩を当て、
思いっきり車体を押す。
それと同時にアクセルをふかす。
だが、どうしても後一歩のところで、
車は円形のくぼみから脱出できない。
15分ほどそうして作業をしていたが、
残念ながらあきらめ、
母が、車の修理屋を営んでいる親戚に連絡をし、
レッカー車と大人4人で何とか脱出することができた。
・・・・
帰りの車の中で、元気なく謝る父の姿が
すごく印象的だった。
「オブジェがあるなんて全然気付かなかったよ。苦笑。
せっかく初めて来てくれたのに、
ほんとうに申し訳ないね。。」
何度も何度も謝っていた。
その後、母から、父が
☆が来てくれるから、どこに連れて行こうか。
と楽しみに計画を立てていたこと。
「両親として、不甲斐ない姿をみせて、
☆ちゃんに愛想つかされたら、
せっかく幸せになるチャンスを
掴んだj-taroに申し訳ないもんな。」
と、言っていつも以上に張り切っていたことを聞いた。
感謝の一言では言い表せない
親からの愛情が、胸の中を駆け巡った。
誰よりも俺の幸せを願ってくれているのは
やっぱり両親なんだな。ありがたいな。。
自慢の両親の期待に応えるためにも、
絶対に☆と共に幸せになろう。そう誓った。
余談、
何でU-ターンできないのに道を作ったのか。
それは、何年か前に天皇陛下が訪問した時に、
専用の道として作られたから、ということらしい。
その道に入る手前には、入っちゃいけませんよ、
という看板が立てられていたため、
普通車はめったに入ってこないそうだが、
父の張り切り具合はそれ以上のものだったようだ。
この出来事は、決して喜ばれるものではないが、
両親の優しさ、両親を咎めることなく受け入れてくれた
☆の優しさを感じられる出来事として、
一生忘れられない出来事となった。
こうして、二人の両親へ同棲の報告を済ませ、
いよいよ、☆との同棲生活が始まった。
しかし、、文、なげぇ。。。しのびねぇ。。
ソイヤ