最近は東京都心などで、「キロ当たり数万ベクレルの黒い物質」がたくさん発見され、それを平方メートル当たりに換算して、「チェルノブイリの強制移住地域」とあおるツイートが結構多く見られます。

 例えば、千葉の柏で昨秋にキロ当たり65万ベクレルのセシウムを含む土が発見され、テレビでも大々的に報道されました。思い出す方もいらっしゃるでしょう。
 http://hama-sush-jp.pro/infinitykatu/entry-11057153210.html

 この数値を65倍して「なんと1平方メートル当たり4,225万ベクレル、チェルノブイリでは148万ベクレル以上の地域は強制移住、今すぐ移住しないと」という感じです。

 この場所は私の家から1キロ少しのところにあります。

 この「換算」の問題はいずれ書かなくては、と思っていましたので、この機会に書いておきますね。

 まず、「65倍」という換算の式ですが、これは「土壌などを5cmの深さで採取して、その土の比重が1.3である」というのが大前提にあります。
 
 ですから、換算のためには「掘った深さ」と「比重」の情報は必要不可欠です。
 掘った深さが1cmや15cm、30cm(農水省測定では多い)の場合は「倍率」が違ってきますので、この点には十分な注意が必要です。。

 このことを、国立環境研究所で長年物質拡散を研究していた森口祐一先生がやさしく解説したページがありますので紹介しておきます。このページをじっくりご覧になって理解していただきたいと思います。
 http://twitpic.com/awozt1

 平方メートルという「広さ」に換算して放射線の影響を評価するのは、外部被ばく量を見積もるため、と解説があると思います。

 ここには書いてありませんが、平方メートル当たりに換算して役に立つのは、一定以上の広さ(例えば100m四方)にわたって同じように放射性物質が存在している場合、ということになります。先に書いた柏の場合には、65万Bq/kgという土が広がっていたのは1メートル四方もありませんでしたので、平方メートル当たりに換算しても意味がないことはおわかりいただけるでしょうか?

 つまり、「点」(マイクロスポット)で存在してる放射性物質の影響を、広い「面」(地域全体)に拡大解釈するのは間違いということです。

 1億円の札束がある場所で見つかったとしたら、びっくりしない人はいないと思いますが、その街を探したらどこでも1億円が出てくると宣伝したら、「なにバカな妄想を妄想をしているの?」と笑いものにされることでしょうにひひ

 マイクロスポットのBq/kgをそのまま65倍してBq/m2に換算する人は、その付近のどこを掘っても「1億円の借用書」が出てくると勘違いしているとわけですね。 
 もちろん、1箇所マイクロスポットが見つかったら、似たような場所はたくさんあることは否定しません。しかし、私の家の敷地にはそういう場所はありません。マイクロスポットになる可能性のある場所は除去して、再びそのような集積が起こらないように簡単な工事をしたからです。

 福島原発近くの高度汚染された地域では、不幸なことにどこを掘っても「1億円の借用書」が出てくる、「面の汚染」となってしまったので、その点で大きく異なることはここで理解をしていただきたいと思います。チェルノブイリの汚染度判断に用いているのはもちろん「広がりを持った面の汚染」です。

 換算には他にも問題がありますが、それはまたの機会にしたいと思います。

 首都圏でも今は「汚染の集積」が起こって「マイクロスポット」がたくさんできていることは間違いありませんが、そこで測った数値がその地域全体を代表するわけではありませんので、「煽りに騙されないように」ということで今日は締めておきます。