作家、火坂雅志氏の心に響く言葉より…

 

 

《今日のママニシテ瓦解(がかい)せんよりは、寧(むし)ろ大英断に出て瓦解いたしたらん》 (大久保利通)  

 

現在のまま何も変わらないでいても瓦解する。

 

それならば、むしろ大きく決断して打ち壊してしまったほうがいい

 

 

 

明治の政治家たちは肚(はら)がすわっていた。

 

江戸幕府が大政奉還をおこない、明治新政府が誕生してからわずか数年のあいだに、

 

東京遷都

 

版籍奉還(はんせきほうかん)

 

帯刀禁止

 

寺社領の没収

 

新貨条例

 

廃藩置県(はいはんちけん)

 

 

など、国家の根幹にかかわる重要な政策を次々と断行していった。

 

明治の男たちには、はるか先へすすんでしまった西欧列強に対し、それに対抗できるだけの国力を短期間に養う…という強烈な使命感があった。

 

彼らが、テーマとしてかかげたのが富国強兵だった。

 

改革は急がなければならない。

 

だが、それが急であるだけに反発もある。

 

ことに江戸開幕以来、270年近くつづいてきた藩を解体し、新たに県という行政単位をもうけるにあたっては、食いぶちを失う19万人もの士族の強い抵抗が予想された。

 

このとき、新政府の首脳の一人だった大久保利通が日記に書きとめたのが、《今日のママニシテ瓦解せんよりは、寧ろ大英断に出て瓦解いたしたらん》の言葉である。

 

 

長年の慣習を打ち破るのは、勇気がいるものである。

 

急激な変化を恐れるあまり、必要な改革を先延ばしにしては、国は破綻するしかない。

 

それならば、潰れるのを覚悟で、大胆な勝負に打って出たほうがよほどましではないか…。

 

 

廃藩置県にのぞむ大久保の覚悟が、この日記の言葉にあますところなくあらわされている。

 

政治家というより、一人の勝負師の気構えに近い。

 

しかし、大久保利通がのるかそるかの博打(ばくち)を好む男だったかというと、そうではない。

 

むしろ、当時一流の理論家で、その行動はつねに冷静緻密な計算に裏打ちされていた。

 

すなわち、ここで廃藩置県を断行しなければ、日本は真の近代国家に生まれ変わることができないという、彼の明確なプランがあったのである。

 

 

大久保利通は天保元(1830)年、鹿児島城下に生まれた。

 

大久保家は薩摩藩の最下級武士で、太平の世であれば、藩政参画することなど夢にも考えられない家柄であった。

 

下加治屋町に移ったが戸数はわずか70余、同じ町内には西郷隆盛をはじめ、大山巌、東郷平八郎などの要人が排出したことで知られている。

 

 

逆境を打ち破った男たちの名言 武士の一言』朝日新聞出版

 

 

 

 

大久保利通について本書の中にこう書かれている。

 

 

『大久保の郷里の鹿児島では、情の男である西郷の人気は絶大だが、理の男の印象が強い大久保はさっぱり人気がないという。

 

だが、大久保はけっして情がなかったわけではない。

 

いや、むしろ熱い思いを胸に秘めていたからこそ、すべての批判を一身に受け、強靭な意思と理性をもって近代日本の基礎を築き上げることができたのではないか。

 

大久保利通は明治11(1878)年、47歳の時、不平士族によって、志なかばで暗殺された。

 

大久保ほど、信念と覚悟を持った政治家らしい政治家はいない。

 

骨のある政治家が見当たらなくなった現代において、もっと評価されてしかるべき男であろう。』

 

 

『気骨のある人は 困難に対して特別な魅力を感じるものだ。 なぜなら困難に立ち向かってこそ、 自分の潜在能力に気づくのだから』(シャルル・ド・ゴール/フランス第18代大統領)

 

どんな困難に出会っても逃げずに淡々と対処できる人と、たいした困難でもないのに悲鳴を上げ愚痴を言って逃げ回る人がいる。

 

気骨があるかないかだ。

 

気骨がある人は、肚ができている。

 

 

明治維新の変化は、一つひとつの変わりようをみると、一国の革命レベルの激しさだ。

 

帯刀禁止だけでも、武士がいつ蜂起してもおかしくない。

 

いくら現代のデジタル革命の変化が激烈だと言っても、明治維新のすさまじさからすれば何ということはないかもしれない

 

 

明治維新を乗り越えた人たちのように…

 

肚をつくり気骨のある人になりたい。

 

 

 

 
 
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